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引退の西武・金子侑司“アンチコメント”に悩み「正直、きついですよ」と口にした日も…華やかなプレーの陰で貫いた「信念の両打ち」と繊細な素顔
posted2024/10/15 11:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
KYODO
埼玉西武ライオンズの金子侑司、岡田雅利、増田達至が、今シーズンを最後にユニフォームを脱ぐことを発表した。
ライオンズは2018、2019年とパ・リーグを制覇しているが、この3選手はそれ以前の、改革期にあったチームの苦しい時代を支えた選手たちだ。最後にもう一花、咲かせてほしかったという思いも強い。
「惜しまれて辞めるのが…」
中でも入団以来、幾度も取材をさせてもらった金子についてはまだまだできるのではないか、という思いも残る。今シーズンはスターティングメンバーとして開幕を迎えたものの6月に二軍降格し、そのままファームで調整していた。ただし、夏場以降は二軍戦でベテランらしい働きを見せていただけに残念である。
「ファンの皆さまからも『まだやれる』、『辞めないでほしい』という言葉をもらうたびに、胸が熱くなったりしました。正直自分の中でも『まだできるかな』と思うところはあるのですが、『まだできる』とか『辞めないで』と惜しんでもらって辞める方が自分らしいかなと思うので、潔く引退しようと思います」
引退会見で金子はこう語った。惜しまれながら引退することが彼の哲学だったのであれば致し方ない。
抜群の身体能力
金子は2013年、ドラフト3位で立命館大から入団した。“特技がバック宙”というほど身体能力に優れた逸材で、即戦力の期待が高かった。
その能力の高さに最初に驚いたのは、入団1年目のオープン戦の時の出来事だ。