バレーボールPRESSBACK NUMBER
「天才リベロが経験した2度目の落選」男子バレー小川智大(28歳)が初めて明かす、“号泣の夜”の真相「止まらなくて…自分でもびっくりした」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byVolleyball World
posted2024/10/10 11:04
パリ五輪のコートに立てなかったリベロ小川智大(28歳)。悔しい想いを抱きながらも、チームに同行することを選んだ
2024年の日本代表シーズンが始まる時、山本と小川にはブラン本人から「オリンピックのリベロは1人。だから選考がかかるネーションズリーグでは2人を交互に起用する」と告げられていた。
「マジで気合、入っていました。何より僕は、オリンピックに関係なく試合に出られないことが嫌で、それ自体にずーっと慣れなかった。言い方は悪いかもしれないですけど、面白くなかったですよね。自分が出たいわけだから、悔しいし、難しいじゃないですか。だからチャンスをくれたブランには、感謝しかなかったです」
ネーションズリーグの初戦、アルゼンチン戦には山本がスタメンリベロで出場。次戦のセルビア戦には小川が出場した。「覚悟を持って臨んでいた」という言葉に違わず、互いにできることはすべてやり尽くす、とコートで魅せた。
「トモさんのミスは願わない」
普通に考えれば、ライバルとのポジション争いの場はピリついていてもおかしくない。だが、互いが覚悟を持って戦う場だからこそ、小川は「リスペクトとポジティブであることに努めた」と振り返る。
「極論を言うと、相手がミスをしないと自分のチャンスは回ってこないかもしれない。でも僕はそういう考え方をすること自体が自分の価値を下げると思っていたので、絶対に嫌だった。トモさん(山本)のすごさは僕が一番わかるし、だからこそ普段通り。自分も自信を持ってやる。それだけ考えていました」