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石川祐希や西田有志に説得され…男子バレー“次世代ミドル”が得た宝物「あの3人を見てきたからこそのエバデダン・ラリーでありたい」
posted2024/10/10 11:03
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
NumberWeb
SVリーグ開幕を控えた10月5日。大阪ブルテオンの紅白戦が行われた。ファンクラブ会員を招いた和やかな試合だったが、コートに入ればレクリエーションの要素はない。ブロック、スパイクで得点したエバデダン・ラリーも、右腕を上げる“ラリーポーズ”こそなかったが、十分な存在感を発揮して見せた。
日本代表の面々も真似をするラリーポーズ。そもそも、いつ、どんな理由で生まれたのかを問うと、照れ笑いを浮かべた。
「なんだっけな。いつ頃やり出したか、何でこうなったかよく覚えていないんです(笑)」
「周りに気を遣わせないように、ふざけた」
入団2年目。24歳のミドルブロッカーは持ち味の身体能力を活かした攻撃力に加え、明朗なキャラクターも魅力の一つだ。
だから、というわけではないが、パリ五輪のメンバーから落選した時もわざと明るく振る舞って、ごまかそうとした。
「(ネーションズリーグのフィリピンラウンド中に)ミーティングをすると言われた時点で、今日メンバーが発表されるんだ、と勘付いた。誰もしゃべらない何とも言えない空気で……。僕は僕で、落ちて悔しかったですけど、ミドルの3人を見ていたら、どこかで『自分も頑張ったけど、やっぱりそうだよな』という気持ちもあったんです。だから周りに気を遣わせないように、とふざけていたら、(小野寺)太志さんから『今はそういう場じゃないから』って(笑)。正直、いつまでヘラヘラしていればいいのかな、って思っていたので、逆にそれですごく救われた。みんな優しくて、家族みたいなチームだったから、選ばれなかった時よりも、負けて、このチームが終わってしまう時のほうが寂しかったです」
パリ五輪は最後までチームに同行した。何もわからなかったスタートから、スタンドで見たまさかの敗戦まで。濃すぎる日々を振り返った。