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「石川祐希と高橋藍が合流すると出番が減って…」男子バレー“13番目の選手”富田将馬(27歳)の再出発「楽しかった小川&ラリーとのパリ生活」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byVolleyball World
posted2024/10/10 11:02
リザーブメンバーとしてパリ五輪に参加した富田将馬(27歳)。この経験を4年後に生かすべく、新天地で迎えるシーズンへの意気込みを語った
五輪では試合が行われるコートや選手村に入れる選手、スタッフの数が限られる。大会期間中は最終選考で12名から漏れた小川智大とエバデダン・ラリーらと一緒に、日本代表が練習拠点としたパリ・バレーの体育館に近い場所で共同生活を送った。
同じ日本代表とはいえ、12名の選手と顔を合わせるのは練習会場だけ。食事も生活も別だった。自転車や地下鉄を駆使しながら会場へ通い、食事も自分たちで買い物をして、時間がある時は自炊した。カレーライスやチャーハンをつくるのは富田の役割だった。
「ラリーは手伝ってくれるんですけど、小川さんは基本的にノータッチ(笑)。お皿洗いぐらいはジャンケンで決めよう、と提案したんですけど、結局小川さんが勝つ(笑)。マジかよ、とか言いながら2人で小川さんをいじる生活が楽しかったです」
開会式後の深夜にハプニング
初戦前夜、現地で開会式が行われた日にはアクシデントにも見舞われた。3人が暮らすのはホテルではなく、シェアハウスタイプのマンション。認められた民泊施設ではあったが、そこで暮らす住人もいる。開会式を終えた深夜1時頃だったか。玄関のドアを激しく叩き続ける音に、翌朝の試合に備えて就寝していた3人も飛び起きた。
「どうする? これ、やばくない?」
外を見ることもできず、離れた場所に泊まる日本代表のスタッフに電話で連絡した。結局、酔っぱらって部屋を間違えた住人の仕業だったのだが、翌朝のドイツ戦は朝9時開始のため、それから寝られたのは2~3時間程度。寝不足のまま会場に着いた。
「さんざんだったよな」と試合前は軽口を叩いていたが、第1セットの序盤、ドイツ代表のギョルギ・グロゼルのサービスエースなどで連続失点を喫し、日本が2対9と劣勢スタートを強いられると、一気に目が覚めた。
そして、メンバーから外れた時以上の悔しさが込み上げた。