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「申し訳ないが、誰も取材に出てこないと思う」ミス、ミス、ミス…4失点完敗の低調ブライトン。その45分後、それでも三笘薫が番記者に語った言葉
posted2024/10/04 17:44
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Getty Images
9月28日に行われたチェルシー対ブライトンの試合後、取材エリアで三笘薫を待っていると、クラブ広報のチャーリー・ハンソン氏が足取り重く歩いてきた。苦渋の表情を浮かべながら、同氏は言う。
「申し訳ないが、選手たちは取材に出てこないと思う」
それもそのはず、ブライトンは2−4で敗戦した。4失点のスコアもさることながら、厳しかったのはその試合内容だ。ミスにミスを重ねて失点の山を築き、チームは機能不全に陥った。筆者は三笘がブライトンに復帰した2022−23シーズンから密着取材を続けているが、これまで見てきた中でこの試合は最低ともいえる内容だった。
実際に取材ノートを読み直すと、ブライトンの低パフォーマンスが浮き彫りになる。試合途中に記していたのは、「とにかく不安定」「DFラインを高い位置に設定しすぎ」「DFラインの背後を突かれまくる」「ビルドアップ途中でボールロスト」「落ち着かない」といった厳しい言葉。4失点で済んだのは御の字で、スコア以上の完敗だった。
そのため、広報から「今日は誰も取材エリアには出てこない」と説明を受けた時も、納得はしていた。敗戦後の選手が取材に応じたくないのは自然なこと。彼らが目指しているのは勝利やゴールの結果であり、敗戦後の落ち込んでいる精神状態で、敗因やミスについて説明するのは誰だって気が進まない。しかも、プレミアリーグでは選手の取材対応は義務ではなく、その判断は、あくまでも選手個人やクラブに委ねられている。
また、チェルシーの本拠地スタンフォード・ブリッジにおける建物の構造も、取材が難しいと考えられる理由のひとつだった。
試合後、このスタジアムではピッチサイドに取材エリアが設けられる。選手の帰り道に取材エリアが用意されているわけではなく、選手は控え室から帰り道と反対方向に向かい、わざわざピッチサイドまで足を運ばなければいけない。それゆえ、三笘から話を聞くのは難しいだろうと感じていた。
“誤審疑惑”の日も…記者の前に立った
だがそうであっても、筆者は「三笘選手を少し待ってみよう」と考えていた。他の邦人記者も、その考えは一緒だった。試合に敗れた時、あるいはチャンスで決められなかった時も、これまで三笘は自身が出場すれば必ず取材エリアに顔を出してきたからだ。