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「日本で稼げる時代に…」井上尚弥“ラスベガス再戦”は実現する? 92歳名物プロモーターが豪語する“2万人プラン”「オオタニのドジャースを見てみろ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/10/03 11:04
次戦を年末に控えながら、早くも来春のマッチメイクが話題になる井上尚弥(31歳)
もっとも、“T-モバイルアリーナで開催”という話を聞いて、少々懐疑的なファンもいるかもしれない。
2016年にオープンした同施設はボクシングでは約2万人を収容可能であり、ラスベガスのアリーナとしては最大。現役最高の人気ボクサーであるサウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)が主戦場としており、昨春にはジャーボンテイ・“タンク”・デービス(アメリカ)対ライアン・ガルシア(アメリカ)という米ボクシングのドル箱カードも挙行された。逆に言えば、この大会場で挙行されるのは米国に拠点を置くボクサーの中でも最大級の興行力を持つ選手の試合ばかりである。
日本では東京ドームに4万人以上を動員した“モンスター”も、アメリカでの興行実績はまだかなり乏しい。上記通り、今回の前評判が違うのは事実であり、対戦相手次第で注目度は高まるとしても、それでもT-モバイルアリーナの使用は強気すぎやしないだろうか。
「私は“T-モバイルアリーナでも小さすぎるとすら思っている。当初は(NFLのレイダースの本拠地である)アレジアント・スタジアムに6万、7万人を収容とも考えたが、それに関しては”ノー“という意見が出た。だとすれば、T-モバイルに2万人だ。アメリカにも多くの日本人が住んでいて、誰もが井上の試合を観たいと思っている。大谷翔平の入団後、ロサンゼルス・ドジャースのチケットプライスがすごいことになっているのを見てみればいい」
ニューヨークで6月に行われた全米ボクシング記者協会の年間賞授賞式&ディナーでは自ら希望して井上の隣に座ったというアラムは、“モンスター”の魅力に心底から魅せられている印象がある。今年の年末、井上の次戦のために再来日予定だと嬉しそうに語ってくれた。その口調からは、日本が誇るスーパースターのラスベガス帰還戦を巨大なイベントにしたいという意気込みが伝わってくる。
2万人キャパは大きすぎる…?
その一方で、同じく長期の“モンスターウォッチャー”でもあるフィッシャー氏はもう少し冷静だった。リング誌編集長が今の井上にベストの会場として挙げたのは、同じMGM系列の別アリーナだった。
「井上のベガス戦は人気になるだろうが、“カネロ”や“タンク”の試合時のようにチケットが売れるわけではないと思う。アレジアント・スタジアムの使用はクレイジーだし、T-モバイルアリーナも大きすぎるのではないか。個人的には“The Monster in Las Vegas”の会場にはマンダレイベイが相応しいと感じている」