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「尚弥さんから“ジャブがいいね”って」井上尚弥とスパーした怪物高校生…“17歳”藤木勇我とは何者?「“中量級の壁”を破る日本人がいるとしたら藤木」
posted2025/12/05 11:04
アマボクシングでセンセーショナルな成績を残す17歳藤木勇我(興国高3年)
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Naoki Fukuda
17歳にして、元世界王者をはじめ数々の実力者とスパーリングを重ねてきた藤木勇我が“貫禄”を思い知らされたチャンピオンがいる。他ならぬ、世界の頂上にいる“モンスター”だ。
「井上尚弥さんとも一度、サム・グッドマン戦に向けて準備している時にマススパーリングをやらせてもらいました。去年の12月ぐらいですかね。パンチを出させられているような、向こうのペースで動かされているような、何か変な、初めての感覚でした。尚弥さんはやっぱりスピードだったり、パワーだったり、足の使い方も、全部がすごい。スパーしなくても、見ているだけで勉強になります。尚弥さんにも他の選手とのスパーリング後、『ジャブがいいね』って言ってもらったんで自信がつきました」
若くしてこれほど評判高くとも、今の藤木には浮ついたところは見られない。10代後半は遊びたい盛りのはずだが、ボクシング一筋。「ボクシングが青春という感じ」と笑う17歳は、一般的な若者の生活にはまったく興味はないのだという。
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「試合終わってから、ちょっとご飯行ったりとか、部活のみんなで祝勝会したりとか、地元の友達、中学校の友達とかでご飯行ったりはします。でもそのぐらいですね。遠出とかはせず、試合が終わったら2、3日後にはもう練習再開しています。ボクシングが毎日楽しいから、遊びたいなっていう気持ちはそこまで起きないです。もう早く練習したくて、朝起きるのが楽しみです」
この若者をそこまで惹きつけるボクシングの魅力とは何なのか。それについて問われた藤木はまるで恋人について語るように饒舌になった。
「1対1の競技なんですけど、戦っている2人にしかわからない距離感だったり、駆け引きだったり、パンチを出してないときの空間だったりとかがあります。この感覚はリングに上がっているものしかわからない。2人にしかわからないそういった戦いを観客のみなさんが見て、盛り上がってくれるっていうのがやっぱり自分としては一番嬉しいし、やりがいあります」

