ボクシングPRESSBACK NUMBER
「日本で稼げる時代に…」井上尚弥“ラスベガス再戦”は実現する? 92歳名物プロモーターが豪語する“2万人プラン”「オオタニのドジャースを見てみろ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/10/03 11:04
次戦を年末に控えながら、早くも来春のマッチメイクが話題になる井上尚弥(31歳)
マンダレイベイ・イベンツセンター(通称ミケロブ・ウルトラ・アリーナ)のキャパシティは約1万2000人。ノニト・ドネア(フィリピン)対フェルナンド・モンティエル(メキシコ)のような軽量級ビッグファイトの舞台となったことがあり、パンデミックで幻に終わった井上対ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)のステージになるはずだった会場でもある。施設にはエリート級の格式があり、確かに今回もT-モバイルアリーナよりはフィットする感触がある。
ただ……すべてのあとで、百戦錬磨のトップランクのプランを変に勘ぐるべきではないのかもしれない。1973年に創設された老舗プロモーターは無謀な博打はしないベテラン集団。幹部たちの間では諸条件が慎重に吟味されているはずで、その上で複数の会場が候補に挙がっているに違いない。
T-モバイルアリーナの使用に関しても、現状ではスポークスマン役に近くなったアラムが先走っているわけではないのだろう。ある業界関係者は「実際にT-モバイルも考慮されていると聞いている。様々な面を考え、トップランクは日本側に条件提示することになる」と述べていた。
対戦相手、充実のアンダーカードは?
もちろんまだ企画の段階であり、正式にゴーサインが出るのは年末の次戦を井上がケガなくクリアしたあと。それでも約半年後のビッグプランがどう動いていくかには興味が注がれ、それと同時に様々な疑問が頭に浮かんでくる。
対戦相手はムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)のような実績のある選手が優先されるのか、それとも米西海岸におけるファンベースの有無が重要になるのか。大イベント感を煽るために、アンダーカードもかなり充実したものになるのか。
本当にT-モバイルアリーナが使用されるとして、アラムの言う通り2万人収容のフルスケールになるのか、あるいは昨秋のシャクール・スティーブンソン(アメリカ)戦と同様に小さめに仕切られるのか。また、来夏に迫ったトップランクとESPNの契約満了直前の興行になるとすれば、ここでの放送/配信形態はどうなるのか。それらのクエスチョンへの答えは、これから少しずつ提示されてくるのだろう。