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「火星人にしかできない所業」大谷翔平の偉業は“野球不毛の地”欧州でどう報じられた? イタリア代表捕手「オータニは本当に“フェノメノ”」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byNanae Suzuki
posted2024/09/29 06:02
日本では連日、報道される大谷翔平。「50-50」の偉業は、一見すれば“野球不毛の地”であるヨーロッパではどう報じられたのだろうか?
イタリア球界は歴史的経緯からベースボールの母国アメリカと直結しているが、もう一つの野球大国ジャッポーネ(日本)への敬意や憧憬も相当に大きい。
現役プレーヤーの間で日本の野球メーカー用品が人気を集め、FIBS(イタリア野球ソフトボール連盟)や各クラブのお偉方の間では、「コーシエン」という日本語が“高校生によるプロ顔負けの超絶トーナメント”という意味で畏怖され、そのまま通じるほどだ。
だから、パルマやボローニャ、ネットゥーノといったセリエA野球クラブのある町なら、MLBのスーパースター「オータニ」の話題で盛り上がってくれる人が必ず見つかるはずだ。
野球報道に定評がある『ガゼッタ・デッロ・スポルト』
スポーツ紙最大手の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、イタリア国内の野球報道では定評がある。何せ前の担当デスクは元U18イタリア代表外野手だ。
今回の快挙を伝えるにあたり、同紙は歴代のレジェンドたちの記録を素直に列記した。野球知識ゼロの読者に大谷の快挙をわかりやすく伝えようとサッカーに喩える努力は過去何度も試され、最早ネタ切れなのだろう。
「ベースボールは数字と記録のスポーツである。ジョー・ディ・マッジョ(※イタリアにルーツを持つ姓のためこう発音される)の56試合連続安打、テッド・ウイリアムズの打率.406、ロバート・ギブソンの防御率1.12、ノーラン・ライアンによる7度のノーヒット・ノーラン。そして昨日、これらにショーヘイ・オータニの“50HR-50盗塁”が加わった。達成の仕方も1日で6打数6安打・10打点・3本塁打・2盗塁。まさに火星人にしかできない所業だ」