大谷の離れ業はFIBSの公式サイトでも、敬愛をもって大きく報じられた。

「MLBの歴史を塗り替え続けるショーヘイ。彼は試合ごとに（記録の）未開地を進んでいく。伝説の男オータニはついに“50－50”クラブというカテゴリーまで創り出してしまった。史上最高選手の有力候補としての地位は日増しに固まっている」

サッカー大国・イタリアでも熱狂的野球ファンは存在するのだ！　©Nanae Suzuki

　数少ないゆえに熱狂的なイタリアの野球ファンが集うネット掲示板をのぞくと、彼らの間でも今回の偉業達成を機に“オータニはベースボールにおけるG.O.A.T.（グレイテスト・オブ・オールタイム）か否か”論争が再沸騰しそうな気配だ。

　バールでエスプレッソを飲む時の話題にならなくとも、大谷の偉業は北米や日本から遠く離れたイタリアでも野球好きのハートを熱くさせている。

小学生たちは選手の「国籍」なんて関係ない！

　イタリア球界はシーズンオフに入っていると先に書いたが、小学生年代はスポーツの秋にまだまだ活動中で、小規模ながら地方で親善試合やミニ大会が開催されている。興味深いのは、普段からスマホでMLBのスーパープレーを見慣れている小学生たちにはあまり選手の国籍を気にする素振りが見られないことだ。

2015年、FIBSアカデミーでのトレーニングの様子　©Takashi Yuge

　イタリアの野球少年たちにとっては、もしかするとアメリカもプエルトリコも日本もあまり意味がないのかもしれない。彼らはただひたすら「ホームラン50本と50盗塁？　オータニ、すげえええ！」と驚愕し、次の瞬間には“僕も！　私も！”とバットを振り出していたにちがいないのだ。