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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「今夜、ユーキは大事な場面で決めてくれた」石川祐希“スター軍団”ペルージャでのリアルな序列は? 現地記者が見た“濃密な1カ月”の成果
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byPA Images/AFLO
posted2024/09/28 11:06
いよいよリーグ開幕を迎えるセリエA。王者ペルージャの一員として、石川祐希はどんなプレーを見せてくれるだろうか
ペルージャの練習風景で気づくのは、極端なまでに笑顔がないことだ。決して“明るく楽しく”ではない。世界最強クラブから強く伝わってくるのは、仕事へのプロ意識だ。どこか和気藹々ムードのあるミラノや他のクラブとは明らかにそこが異なる。
彼らは不必要にギスギスもしない。ペルージャの選手たちにあるのは“俺たちはタイトルを獲るためにここにいる”という王者の強烈な矜持だ。
再開された6対6の紅白戦形式では、サブ組に入った石川のスパイクがブロックに捕まると「ユーキ! ピュウ・フォルテ(もっと強打)! ピュウ・フォルテ!」と監督の声が届く。
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練習とはいえ、イタリア代表MBルッソのブロックの迫力が凄まじい。彼が最後の1ポイントを押し込んだ、“あの”パリ五輪準々決勝を思い出さずにはいられない。ペルージャのチーム愛称は“ブロック・デビルズ”なのだ。
石川は打たれ、打ち込まれる。だが、やられっぱなしではいない。
お返しとばかりにジャンプサーブを叩き込んだ。スピードガンにこの日最高速の114km/hが表示され、レギュラー組は“やるじゃねーか”の眼差しを返した。
「パリ五輪でのイシカワはすごかったな」
いつしか地元ランナーや犬の散歩の休憩がてら立ち寄った夫婦連れ、夏休み中の小学生に午後の仕事を終えた地元有志のサポーター集団ら無数のペルージャ市民が練習を見守っていた。
入れ代わり立ち代わり、彼らは世界一見ごたえのある“おらが町のイタリア王者”のバレーを愛でて愉しむ。年季の入った高齢の男性ファン4人組が、今季から背番号14をつける新人を査定していた。
「イシカワか、クラブはいい買い物をしたよ」
「レオンは昨季のファイナルでは良かったけど、シーズンのほとんどで役に立たなかったからな」
「パリ五輪でのイシカワはすごかったな。早々に負けてくれてよかったよ、怪我でもされたら困る」
「うんうん、彼の加入で戦力編成に欠けていたピースが埋まったよ」