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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「3年目、俺やるよ」日本ハム・新庄剛志監督は密かに明かしていた…20年来の盟友だけが知る「過激パフォーマンスの裏側」「隠し通した素顔」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2024/09/28 11:02
ともに日本ハムでプレーした新庄剛志(左)と岩本勉
忘れられないカメラマンの一言
ノリのいいマシンガントークが持ち味だが、これにも秘密がある。きっかけはレポーターとしてNHKの昼の生中継に出演した時のこと。湘南のシラスを釜茹でする職人の作業をレポートする際、「うわぁ綺麗ですね! みるみるうちに色が変わるじゃないですか!」などと興奮気味にまくし立てた中継の後、ベテランのカメラマンに諭された。
「伝えなきゃいけない、という使命感で沢山言葉を詰め込んでいたんですが、カメラマンさんにこう言われたんです。『コメントしてくれるのは嬉しいんですけど、テレビって見ているときに黙られた方が(視聴者の視線が)画面に寄るんですよ』と。確かにそうだ、と胸に落ちました。黙る勇気、見せる勇気。だから野球の中継でも、本当に凄いプレーが出たり劇的な展開が起きている時は、自分は黙るようにしています。その瞬間から数テンポ遅れて、そのプレーをしっかり解説できたり、胸に残るような言葉を伝えられることが大事かなと思っています。とはいえ、やっぱりうるさいですよ、僕は。だから放送ではいつも言うんです。ボリュームはセルフでね、って(笑)」
「号泣している新庄監督の姿を…」
新庄監督が初めて迎えるCSの大舞台。そしてその先へ――。白熱のポストシーズンを放送席から伝える岩本氏は、ひっそりとこんな夢を抱いている。
「引退する時に彼は涙ちょちょ切れてましたけど、号泣はしていなかった。だから号泣している新庄監督の姿を届けたいです。その時に僕は、指揮官としての彼の歩みをすらすら、と言える準備をしておきたい。あれほどのスーパースターですから、自分がプレーできないこの3年間はもどかしい思いばかりだったと思う。そのジレンマと戦いまくって、蒔いた種を辛抱強く育てて大きな花が開いた瞬間。それを見させてもらうのを、僕も楽しみにしています」 (前編も公開中)