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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「3年目、俺やるよ」日本ハム・新庄剛志監督は密かに明かしていた…20年来の盟友だけが知る「過激パフォーマンスの裏側」「隠し通した素顔」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2024/09/28 11:02
ともに日本ハムでプレーした新庄剛志(左)と岩本勉
スター新庄が隠し通した「努力の素顔」
意外な素顔はもう一つある。春季キャンプ中のある日、朝一番でウエートルームに入った岩本氏は、誰もいないと思っていた室内に響く荒い息遣いに驚いた。汗だくになってダンベルを持ち片足屈伸していたのは、新庄剛志その人だった。
「びっくりして『どうした?』と聞いたら『一回肉離れしているから、定期的にチェックしないといけないんだよ』と。集中してトレーニングを終えると『じゃあ後でね』って何事もなかったように出て行った。
その後、チームの練習が始まると悠々と現れてバカバカ―ンって打ってね。周囲には、スター選手がゆっくり来て気持ちよく練習しているんだとうつるでしょうね。でも実際には、その前に入念なトレーニングをしているんですよ。ストイックを絶対にストイックとは見せない。才能だけで野球をやっていると思う人もいますが、それは完全に間違いです」
「ガンちゃん、見といてね」打ち明けた決意
心通じ合う仲だが、2022年に新庄がファイターズの監督に就任してからは解説者としてあえて距離を保ち、グラウンド上ではなるべく話し込まないようにしているという。しかし岩本氏は、新庄監督が就任直後にふと漏らした言葉を今も鮮やかに記憶している。
「『ガンちゃん、辛抱して見といてね。3年目、俺やるよ』って言っていました。彼の人生は色々なことが“3年周期”なんだそうで、阪神でも入団3年目にブレークして、アメリカも3年で帰ってきている。ファイターズにも3年いて引退。『3年目の最終年には必ずやりたいことを叶えている』って言うんですよ。その割には監督は1年契約でしたけどね(笑)。とはいえ、あの時から彼の中では密かに3年計画を描いていて、1年目、2年目と手応えがあっての今シーズンなんだと思いますよ」
“ガンちゃん流”解説に苦情も…
岩本氏は、解説者として19年目のシーズンとなる。関西弁の軽妙なトークやインパクトのあるフレーズ、盛り沢山のエピソードなど、その解説は他とは一線を画すが、そのスタイルを確立するまでには紆余曲折があったのだという。
「駆け出しの頃は、苦情の手紙が来たこともあります。『70歳過ぎの野球ファンです。北海道で大好きな野球が見られるようになって嬉しかったのに、解説があなたじゃないですか。やかましくて聞いていられません』って。初めはショックでしたね。でも前向き思考で10人いて8-9人に支持されるならその人たちのために喋ろうと思ってやっています。関西弁も直そうとは思わないですが、これでもだいぶマイルドな関西弁でお届けしているんですよ。ほんまの関西弁言うたら、いっぺん福本豊さんの解説聞いてみてくださいよ(笑)」