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プロ野球PRESSBACK NUMBER
清宮幸太郎が覚醒、緻密な作戦も…「3年目の新庄剛志は何が変わった?」岩本勉が語る“新庄野球”の正体「実は野村克也監督の色違いなんです」
posted2024/09/28 11:01
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
JIJI PRESS
「優勝なんか一切、目指しません。僕は!」
2021年11月、就任会見に臨んだ「BIGBOSS」は、インパクトのあるこんな言葉から指揮官としてのキャリアをスタートさせた。
「何でこんなに変わったの?」
あれから3年。呼び名も変わった「新庄監督」は、誰も信じなかったポストシーズン進出を決め、その舞台で野球ファンを驚かせようとしている。優勝を決めたソフトバンクには大差をつけられたが、若い選手たちが生き生きと躍動するチームは大きなインパクトを残した。
「何でこんなに変わったの? 色んな人からそう聞かれます。一言で言えば今年のファイターズは新庄監督の集大成のチームなんです。2年間蓄えてきたもの、その成果が結果となって出ている。何より新庄剛志という野球人が、この2年間でめちゃくちゃ監督らしくなった。偉そうに言うつもりはないんですが、同学年としてそれは一番感じていることなんですよ」
岩本氏は3年目の進化をこう解説する。戦力の大幅な入れ替えがあり若い選手中心のチームで迎えた就任1年目の2022年は、「全員を一軍の舞台に立たせる」という公約通り、故障の1人を除く全選手を一軍で起用した。2年目は辛抱の時。自身は派手なパフォーマンスも控えてあまり表に立たず、選手には時に厳しい姿勢も見せた。
「野球に恋していた」新庄監督
「10年以上野球界から離れてはいたけれど、新庄監督は野球にずっと恋していた。俺ならこんな野球がしたいと描いていたはずなんです。就任してまずチームを見た時にそのポテンシャルを感じて嬉しくなって、1年間は周りがなんと言おうと、潜在能力の“引き出し作業”をしたんですよ。
2年目は本当に寡黙で、ベンチでの立ち姿も違った。プロはこんなに厳しい世界で責任を持ったプレーが必要なんだぞ、というのを植えつけまくった。そして3年目に、君たちはもう自信を持って戦え、これがスローガンの『大航海』です。今年は放送席で見ていて差し込まれるようなベンチの作戦もありました。このタイミングでこれか、上手いなぁと思わず感心するような。加えて球団も今年は本気になってお金を使って補強した。獲ってきた選手が活躍するだけでなく、それを見た他の選手たちが刺激を受けた。この相乗効果は最後のスパイスになったと思います」
思わず頭を抱えた…初陣のあるプレー
22年3月25日、BIGBOSSの初陣となるソフトバンク戦を解説していた岩本氏は、思わず頭を抱えたという。開幕投手の重責を担ったソフトバンク先発の千賀滉大(現・メッツ)は、立ち上がりから制球が定まらず苦しんでいた。ボールが手につかないような状態に対して、ファイターズの先頭打者、今川優馬は3ボールからボール球に手を出して凡打し、笑顔でベンチに戻ってきた。