――高田さんにとってはじめてのチームで、はじめての監督でしたが、球団に条件として編成面や組閣で希望したものはあったんですか？　

高田　編成面では全部やないけどドラフトやトレードにもある程度は希望を出せたとは思うよ。監督に就任するにあたって、コーチで希望を出したのはヘッドコーチに与那嶺要さんと、投手コーチに大石清さんの2人をお願いしたぐらいだね。あとのコーチ陣は球団で揃えてくれた。

　当時39歳や。同級生はまだ現役でやっている選手もいるぐらい若かったからね。コーチは全員年上やった。ただ、日本ハムというチームを知らない自分にとっては、バッテリーコーチに鈴木悳夫さんら生え抜きでずっとコーチをやっていた人の存在も、ありがたかったよね。

――年上のコーチだと気を遣って嫌がる監督もいると聞きますが、高田さんはやりにくさはなかったですか？

高田　まったくなかったよ。年上だと嫌がる監督もおるけどな。わからんわ。気遣うわけがない。自分に欠けているものを補ってくれる人に年上も年下もないやろ。

――さすがです。巨人での現役時代、浪商の5年先輩の張本勲さんが移籍してきた時に「巨人では俺が先輩だ」と言って敬語を使わなかったという逸話も現代に語られています。

高田　なんやそれ。うそや。うそ、うそ！　それはない。さすがに張本さんに敬語なしなんて……とんでもない！

巨人時代の張本勲。高田氏にとっては高校の5年先輩にあたる　©JIJI PRESS

チーム作りに「年上だ、年下だなんてのは関係ない」

――Wikipediaにも出てますし、もはや定説となりつつあります。

高田　いえるか！　考えてもみい。浪商の大先輩で、あれだけの大打者に対してそんな無礼なことをできるわけがない。昭和50年、巨人は最下位になって、俺も成績を残せなかった。その時に来てくれたのが張本さんだよ。俺なんて張本さんじゃ競争相手にもならないんだから、試合に出るためにはトレードに出してもらいたいって考えていたんだから。

――これは喝ですね。

高田　先輩を先輩扱いしないなんてことは絶対にしないよ。ただ……話を戻すとや。チーム作りにおいては、年上だ年下だなんてのは関係ないんだよ。いまはもう、年上だからやりづらいだなんだ、言うてくる監督が結構いるけど、自分に欠けているところを補ってくれるチームに必要な人なんやからね。

　俺が日本ハムの監督になった時なんて、はじめての監督や。経験豊富で自分の考えを理解してくれて、四六時中一緒にいて話ができる。そういう人を入れたかったから、監督も経験している与那嶺さんにヘッドに来てもらったし、ピッチャーのことも専門外やから、投手コーチに大石さんをお願いしてね。あとの人事はチームの状況を把握している人たちを、チームのことをよく知っているフロントに揃えてもらう。その考えはGMになってからも変わらない。監督が希望するコーチは2～3人は入れるけど、すべては勘弁してねというのが、バランス的にもちょうどええんや。

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