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「めちゃめちゃネガティブになる人間でもないですから」遠藤航(31歳)が明かすリバプールの生存競争…転機となった“印象に残る2試合”とは 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byRyu Voelkel

posted2024/09/15 17:02

「めちゃめちゃネガティブになる人間でもないですから」遠藤航(31歳)が明かすリバプールの生存競争…転機となった“印象に残る2試合”とは<Number Web> photograph by Ryu Voelkel

リバプールで2シーズン目を迎えた遠藤航(31歳)。競争の激しい名門クラブでのサバイバルについて語った

「なんだかんだと週に1試合は出ていたので、カップ戦要員と言われようと、どの試合に出たか、みたいなことは全く意識していなくて。結局、カップ戦で優勝もしたわけだし。メディアだけじゃなく、ファンも自分の意見を持っているし、どこまで活躍しようが、そういう批判は降りかかってくるもの。メッシだろうが、クリスティアーノ・ロナウドだろうが。選手としては気にしないのが一番だと思っています」

 当時、国内報道で最もよく見聞きした遠藤の代名詞は「30歳」という年齢だった。だが当人は、31歳の現在もどこ吹く風だ。

「10代の頃から30に見えるとか言われていたので、ようやく年相応になったかなぐらいの感じ(笑)。コンディション的にも、30を超えた選手たちから、『急に来るよ』と聞いていましたけど、自分は普通に今まで通りプレーできていると思っています」

思っている以上にフィットした感覚

 当初は出場時間が限られたプレミアのピッチも、「イメージ通りだった」と言う。

「速かったり、強かったりというイメージとはマッチしていたというか、要は自分がどうアダプトしていくか。対相手だけじゃなく、クロップのサッカーに適応するという意味でも大変な作業ではありましたけど、それを、できるだけ少ない試合数の中でやらなきゃいけなかった。今までの経験があるからこそ、(周りが)思っている以上にフィットしていったという感覚です」

 その「経験」の中には、2019年夏からの本人曰く「欧州で一番キツかった」3カ月も含まれる。ベルギーのシント=トロイデンからのレンタル移籍で加入した、ドイツとはいえ当時2部のシュツットガルトで、ベンチ止まりが続いた時期だ。

 そのような状況でも、遠藤が持つ「生存本能」は前向きに働く。

「めちゃめちゃネガティブになる人間でもないですから、落ち着いて、やるべきことを少しずつやっていた感じではありましたね。難しいシチュエーションで逃げ出すのは簡単だと思います。だからこそ、そういう時に、一貫して自分と向き合えるかどうかは確かに大事かな」

まずはリバプールのサッカーに慣れること

 穏やかな表情とは対照的な、強い言葉。「気にしない男」は、同時に「考える男」でもある。状況判断はピッチ外でも的確。しかも、自然と利他的でもあるソリューションに行き着く。だからこそ周りに信頼され、必要とされる。

【次ページ】 遠藤が挙げる「転機となった2試合」

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