オリンピックへの道BACK NUMBER
先輩から「お帰りなさい」試合後に涙…喫煙問題から2カ月、体操女子・宮田笙子(19歳)の復帰戦で見えた“大きな重圧”「自分が出たいと…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2024/09/09 17:00
9月7日、国スポ体操の成年女子団体総合の演技を終えて涙を流す宮田笙子
ひとつだけ残る“ある疑問”
一つ難を言えば、日本体操協会は8月上旬、第三者機関を設置して関係者への調査を実施し、事実確認をしたうえでしかるべき対応をしていくと発表しているが、その結果はまだ公になっていない。国民スポーツ大会での復帰は、実質的に宮田についての処分はこれ以上はないことを示しているが、公になっていないことから疑問を抱く向きもあるという。よりすっきりした形であれば、復帰戦としてなおよかったのではないか。
ともあれ、宮田は復帰を果たした。
感情の昂ぶりもときに感じさせつつ、負傷している中にあって、それでも3種目を一定以上のレベルでそろえるパフォーマンスをできたのはオールラウンダーたる宮田の地力にほかならない。
チームの支えに加え、会場からは歓声をはじめとする励ましもあった。
「この素晴らしい体育館で演技させてもらえたことに、ほんとうに感謝しています。いろいろな方々から声もかけていただき、今後に対してすごく前向きな気持ちになれたと思います」
「今はうれし涙しかないです」
そして試合を終えたとき、不安と緊張から流した涙の意味も変わっていった。
「今はうれし涙しかないです」
復帰を果たした今、これからの道は宮田本人にかかっている。そのための糧は少なくとも得た。それをいかせれば、真のエースになり得る。