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先輩から「お帰りなさい」試合後に涙…喫煙問題から2カ月、体操女子・宮田笙子(19歳)の復帰戦で見えた“大きな重圧”「自分が出たいと…」
posted2024/09/09 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
KYODO
9月7日、佐賀で開催されている「国民スポーツ大会」(旧国体)の体操・成年女子の試合が行われた。
福井県代表には宮田笙子がメンバーの1人として参加、4種目中3種目に出場し福井県の6年ぶり優勝に貢献した。最初の跳馬では着地を決めて13.300点をマーク。その後の平均台、ゆかも安定感のある演技を見せて終えると、涙を流した。
「このたびは、私がとった行動によって多くの皆様にご迷惑をかけてしまい、深く反省しております。申し訳ありませんでした。この件に真摯に向き合い、今後の選手生活を全うしてまいりたいと思います」
試合後の言葉は、7月からの一連の出来事とその後の時間を伝えるようだった。
復帰する宮田にかかっていた“大きな重圧”
宮田にとって、5月のNHK杯以来4カ月ぶりの実戦だった。ほんとうなら、パリ五輪代表の1人であったから、この空白はなかったはずだった。
あらためて経緯をたどれば、7月15日に喫煙に関する情報提供が内部から強化本部にあり、翌日、宮田本人に確認。喫煙の疑いが浮上したことから合宿地のモナコから緊急帰国させて18日に担当コーチらが同席の上、本人に聞き取りを行った。
結果、喫煙だけでなくナショナルトレーニングセンター内のアスリートビレッジでの飲酒も発覚。宮田は19歳。喫煙、飲酒が可能な年齢に達していない。また、日本体操協会の「日本代表選手・役員の行動規範」に対する違反もあり、話し合った末、日本オリンピック委員会(JOC)に対し、パリ五輪辞退を申し出て出場はならなかった。