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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「ドヘニーは身も心も削られていた」元世界王者・飯田覚士が分析する井上尚弥の“打たせずに倒す”勝ち方…「あえて課題をあげるとすれば?」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/09/06 18:01
ドヘニーを7回TKOでくだした世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥。元世界王者・飯田覚士が王者・井上の強さを徹底分析した
「課題と言うほどのことではありませんが、あの棄権は、背中にパンチが当たったからだとドヘニー選手は言うかもしれない。完璧なボクサーを目指すのであれば、相手に一切言い訳させないように、後頭部気味、ローブロー気味のパンチにならないような精密さが求められるかなとは思います」
井上の次戦は12月、国内においてIBF、WBO1位のサム・グッドマン(オーストラリア)が予定されている。これをしっかりとクリアすれば、トップランク社のボブ・アラムCEOが試合後のリング上で「来年にはラスベガスで大きなイベントを開催したい」と明かしており、さらなるビッグマッチが期待される。
ドヘニーですら後ろ重心にしてディフェンシブな戦法をとってきただけに今後、対戦相手がそのパターンを採用する可能性は高いと見ていい。「正直あまり楽しくはなかった」と試合後の会見で語っていた井上ではあるが、丁寧にこじ開けた今回の勝ちっぷりは“それじゃ通用しない”と強烈なメッセージを発したことにもなった。
ハイテクを超えたハイテクの狼煙。井上尚弥のグレードがまた一つ引き上がった一戦となったことは言うまでもない。
<前編から続く>