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「ネリのように井上尚弥を見下す発言はしない」37歳ドヘニーはなぜ“最強王者”に挑戦状を?「最高のタイミングで最大のファイトが訪れた」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byDaisuke Sugiura

posted2024/08/30 11:05

「ネリのように井上尚弥を見下す発言はしない」37歳ドヘニーはなぜ“最強王者”に挑戦状を?「最高のタイミングで最大のファイトが訪れた」<Number Web> photograph by Daisuke Sugiura

9月3日に井上尚弥と対戦するTJ・ドヘニー(37歳)

 大橋ジムのミスター大橋(秀行会長)は昨年6月以降、試合出場のチャンスを与えてくれ、おかげでキャリアを再生させることができた。井上本人とも大橋ジムで2度、短いやりとりを交わしたことがある。握手し、丁寧に挨拶を交わしたよ。こっちを見て遠くからうなずいたとかではなく、ジムに入って私の姿を見ると、井上は真っ直ぐにこちらに歩み寄ってきたんだ。そんな姿からは、井上が私にリスペクトの念を抱いてくれているのが感じられた。

3人の息子と20歳の娘と一緒に過ごす

 尊敬すべき統一王者との対戦になるが、私も負けるわけにはいかない。私には(現在本拠を置くオーストラリアに)息子が3人と、アイルランドには20歳になる娘がいる。息子たちは試合を見に来るし、娘は試合後に合流して一緒に休日を過ごす予定になっている。

 私にとってはファミリーがすべてだ。これまでのインタビューで「井上との試合にはどんな意味があるのか?」「どんな戦いになるのか?」と尋ねられてきたが、「人生がかかったタイトルマッチだ」という以外に答えられない。

 私の人生には“プランB”は存在せず、何もかもがこの試合にかかっている。もしもうまくいかなかったら、また振り出しからやり直しだ。それはつまり私の家族もやり直さなければならないことを意味する。それほど重要な戦いだからこそ、最大のモチベーションで臨むことができるんだ。

 これまでの相手に失礼な言い方はしたくないが、過去数戦はメンタル面の状態が最高ではなかった。対戦相手が、私が望んでいたレベルの選手ではなかったからだ。それらの試合と比べ、今戦では準備、集中の度合いが大きく違う。100%の状態ではなくても連続KOを飾ってきた私が万全の準備で臨む9月3日、何が起こるかを今から楽しみにしておいてほしい。

【次ページ】 「初回から無鉄砲に攻勢に出るつもりはない」

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