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「ネリのように井上尚弥を見下す発言はしない」37歳ドヘニーはなぜ“最強王者”に挑戦状を?「最高のタイミングで最大のファイトが訪れた」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDaisuke Sugiura
posted2024/08/30 11:05
9月3日に井上尚弥と対戦するTJ・ドヘニー(37歳)
ヘクター・バミューダ・トレーナーの下で練習することでボクシングIQが上がった。以前は力み過ぎの傾向があり、勝てる試合を何戦か落としたが、最近はよりリラックスして戦えるようになった。相手の動きを上手に読み、理に適った戦いができるようになった。それらのすべてがいい形で調和し、ベストの状態で再び統一王者と戦う大一番に臨めると思う。
もちろん井上が最高級のボクサーであることは否定しない。井上のシャープさとクイックネスには特筆すべきものがあり、パンチは常にスナップが効いている。正直に言えば、彼のボクシングには欠点は見つけられない。
だから“モンスター”の過去の対戦相手のように、彼を見下したようなことを言うつもりはない。ルイス・ネリは「井上が過大評価されている」などと言い放ち、結局は6ラウンドで倒されてしまったからね。
その一方で、井上が初回にダウンを奪われたネリとの試合は「無欠のボクサーは存在しない」という事実を示したという見方ができる。ここで言いたいのは、井上尚弥はパウンド・フォー・パウンド(PFP)最高級の才能であり、同時にTJ・ドヘニーはワールドクラスのボクサーだということ。私は人生をかけて戦う。私には世界レベルのパンチ、身体能力が備わっていることを9月3日のリングで示すつもりだ。
「日本はやりづらい場所ではない」
特に日本は私にとって縁起がいい国で、これまで日本リングでは4戦4勝だ。
キャリアを通じてロードウォリアーであり続け、日本に限らず様々な国で戦ってきたから、海外での戦いに特別な難しさは感じない。日本は敵対的な環境ではなく、私はいつでも温かく迎えられる。ファンは友好的であり、対戦相手となった日本人選手のファンですらも私には敬意を払ってくれているのを感じてきた。だからやりづらい場所ではないんだ。
日本は私が初めて世界王者になり夢を叶えた場所(2018年8月、岩佐亮佑に判定勝ちで世界王者奪取)なのだから、感情的な結びつきも感じる。気分良く戦えるし、いいパフォーマンスができているのだと思う。