甲子園の風BACK NUMBER
号泣は取材時も止まらず「先輩に…申し訳ない」“打てば逆転サヨナラ甲子園優勝”で三振「初球からいけ」関東一2年バッターの後悔と誓いとは
text by
間淳Jun Aida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/24 17:00
ゲームセット後、アルプススタンドへの挨拶で涙にくれる関東一の坂本慎太郎。甲子園準優勝した2年の夏を経て、どんな野球人となるか
「初球からいけと言って送り出しました。でも、手を出せなかった。その気持ちを、どう考えるのか。何を思って見送ったのか、そこだと思います。彼は2年生なので、先があります。この悔しさを次につなげてくれるはずです」
準決勝までの4試合のうち、3試合で1点差勝利を収めてきた関東一は1点差で京都国際に敗れた。あと1点。相手との差を問われた指揮官は、こう答えた。
「帰ってから、もう一度ゆっくりと考えたいと思いますが、日本一を獲りに行く気持ちが自分を含めてチームとして足りなかったのかなと今は感じています」
京都国際の奥井のリードとは対照的に――気持ちの差を敗因に挙げていた。その一方で、今大会と未来に向けて充実した戦いだったことも明かしている。
「1点差の試合展開は苦しいですが、選手たちは守り切る楽しさを感じていました。我慢して我慢して、明るくプレーしていました。でも、日本一まで何か1つを掴めませんでした。その1つが何かを考えて、甲子園に戻ってきたいと思います」
後悔が…必ず秋や春につなげます
足りなかった何かを痛感し、新チームで「誰か」になることを最も期待されている坂本は涙を拭って力を込める。
「決勝戦は課題や後悔がありました。必ず秋や春につなげます」
あと1勝、あと1点。武器とする守備に加えて、打力と気持ちを鍛えて再び日本一に挑戦する。