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山本由伸、稲尾和久も未達成「防御率0点台」中日・高橋宏斗が狙えそう…「戦後唯一の0.98」「109回で0.91」をマークした投手は誰?

posted2024/08/20 17:14

 
山本由伸、稲尾和久も未達成「防御率0点台」中日・高橋宏斗が狙えそう…「戦後唯一の0.98」「109回で0.91」をマークした投手は誰?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

防御率0点台と好投を続ける高橋宏斗。戦後1例しかない大記録達成となるか

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 今季のNPBが極端な「投高打低」であることは、このコラムでも紹介し、多くのメディアが伝えているが、この傾向を反映して、今季、「歴史的な投手記録」が生まれる可能性が出てきた。

「防御率0点台」だ。

防御率の歴代ランキングを見ると戦前の記録だらけ

 防御率(Earned Run Average / ERA)は、投手が9イニングを完投したとして何点取られるか? という指標である。

〈防御率=自責点×9÷投球回数〉

 防御率は、アメリカでプロ野球が始まったころに「野球記録の父」ヘンリー・チャドウィックによって考案された。先発、救援を問わず、今も投手の実力を示す重要な指標であり、防御率1位投手は「最優秀防御率」というタイトルを獲得する。

〈プロ野球歴代のシーズン防御率ランキング〉
 藤本英雄(巨人)1943年 56試34勝11敗432.2回253振 率0.73
 景浦将(タイガース)1936年秋 8試6勝0敗57回30振 率0.79
 沢村栄治(巨人)1937年春 30試24勝4敗244回196振 率0.81
 野口二郎(大洋)1941年 48試25勝12敗338回168振 率0.88
 林安夫(朝日)1943年 38試20勝11敗294回94振 率0.89
 森弘太郎(阪急)1941年 48試30勝8敗333.1回85振 率0.89
 野口二郎(翼)1940年 57試33勝11敗387回273振 率0.93
 景浦将(タイガース)1937年春 22試11勝5敗106.1回52振 率0.93
 スタルヒン(巨人)1940年 55試38勝12敗436回245振 率0.97
 村山実(阪神)1970年 25試14勝3敗156回118振 率0.98
 村松幸雄(名古屋)1941年 28試12勝10敗210.2回61振 率0.98

 防御率0点台は延べ11人もいる。同じシーズンに複数の防御率0点台が出たシーズンもある。しかしこの11例のうち、10例は戦前の記録だ。

 プロ野球の草創期は投手が圧倒的に優位だった。また1941年に太平洋戦争がはじまると物資が窮乏し、使い古しの飛ばないボールを使っていたこともあり極端な「投高打低」だったのだ。

戦後で達成したのは村山実だけ。山本由伸は…

 戦後に限れば、1970年の阪神・村山実しかいない。

〈戦後の防御率5傑〉
 村山実(阪神)1970年 25試14勝3敗156回118振 率0.98
 稲尾和久(西鉄)1956年 61試21勝6敗262.1回182振 率1.06
 村山実(大阪)1959年 54試18勝10敗295.1回294振 率1.19
 村山実(阪神)1962年 57試25勝14敗366.1回265振 率1.20
 山本由伸(オリックス)2023年 23試16勝6敗164回169振 率1.21

【次ページ】 山本由伸の防御率1.21も凄まじいのだが

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