酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
山本由伸、稲尾和久も未達成「防御率0点台」中日・高橋宏斗が狙えそう…「戦後唯一の0.98」「109回で0.91」をマークした投手は誰?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/08/20 17:14
防御率0点台と好投を続ける高橋宏斗。戦後1例しかない大記録達成となるか
今季の高橋は15試合に先発し106回を投げて、自責点はわずかに8にとどめている。さらに驚くべきことに被本塁打はいまだに0。2リーグ制以降のプロ野球で、規定投球回数以上の投手の最少被本塁打は、1956年西鉄の稲尾、2012年日本ハムのウルフ、2023年オリックスの山本由伸の「2」だった。規定投球回に達すれば被本塁打「0」も空前の記録だ。
高橋は15試合に登板して14試合がQS(Quality Start:先発して6回以上を投げて自責点3以下、先発投手の最小限の責任とされる)。抜群の安定感を見せている。
10勝1敗、勝率.909…運ではなく実力で残した成績
中日は46勝57敗、勝率.447で5位と低迷している。それでも高橋は10勝1敗、勝率.909と抜群の成績。最高勝率は、規定投球回数に関係なく「13勝以上」となっている。今後の投球次第で最高勝率のタイトルを獲得する可能性もあるだろう。
高橋は6月28日のDeNA戦で負け投手になってから6連勝、ただここ2試合は自責点1、自責点2と失点し、防御率が0.48から0.68へと下がっている。それについては気がかりではあるが、今シーズンの高橋は運が良くてここまでの成績を挙げているわけではない。制球力が良く、被安打も少なく、本塁打も打たれないという、投手としての「実力」を見せているのだ。
あと37イニングを投げれば高橋は規定投球回数に到達する。5試合以上投げることができれば可能だろう。そして合計の自責点7なら防御率は0.94となり、戦後では2人目の「防御率0点台投手」の誕生となる。
109回を投げて防御率0.91の成績を残したのは…
なおNPBの「規定投球回数」は、時代によって異なっていた。「チーム試合数×1.4」や「190回以上」などのシーズンもあった。そこで規定投球回以下で100イニング以上投げた投手まで範囲を広げて調べると、村山以外の防御率0点台が1人だけいた。