NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「もう無理なのかな…」堀米雄斗がいま明かす逆転金メダルを決めた“奇跡のトリック”「じつはオリンピック会場で一度も練習してなかった」
text by
梶谷雅文Masafumi Kajitani
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/08/22 11:04
パリ五輪で2連覇を達成した堀米雄斗。金メダルを決めた逆転のベストトリックについて明かした
「コーチの早川大輔さんがアメリカに来てくれて、いろいろ話して、違うスケートパークにも行くようになって。オリンピックを目指しているスケーターと仲良くなって一緒に滑り始めたんですけど、そこでみんなのモチベーションが感じられて。自分も気持ちを上げられた部分はあって、だから滑る時間も長くなりました」
「守りに入る感じなら最後に落ちて負けるな」
7月29日、男子ストリート決勝。1本目から堀米特有のノーリー(板の先端を弾いてジャンプする技)を駆使したトリックを組み込み、素晴らしいランを披露した。
「本当はまったく違う戦い方を想定していました。1本目のランでまず安定した得点を取って、2本目ではふたつくらいトリックを変えて攻める。もし乗れたら高得点が出ていいスタートを切れるので。でも2本目にミスっちゃって」
――それでも、ベストトリックの1本目はしっかり決めましたね。
「1本目のトリックはもともと練習していた技だからあれを出そうと決めていました。高得点が出たから、最初はメダルを取れる範囲の滑りをしようと思って、実は全然違うトリックをやろうとしていました。でも周りの滑りを見て、守りに入る感じなら最後に落ちて負けるなって思って。そこであのトリックにすぐに変更しました。実はオリンピックの会場で一回も練習してなかったんです。あそこから始めました」
ブダペスト大会で逆転優勝したノーリー270ブラントスライド。世界中でも堀米しか習得していない高難易度のトリックだ。自らの判断でトリックを変更するも、3本続けてまさかのミスを重ねてしまう。
「感覚で滑っていることが多くて、ミスしている理由がわからなかったんです。特にあのトリックは乗れる確率の方が低いですから。最初の2本は着地してまくられた(板の後方に重心がズレて転んだ)けど、3本目のトライはブラントスライド(板の後方をかけてスライドする技)がかからなくてメイクから遠くなった感じがあって。でも周りがトリックを決めているからこそ、焦りは逆になくなりました。そこからは自分に対しての挑戦でしかなかったです。これを決められるのか、決められないのかという」
【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の【独占インタビュー】「自分への挑戦だった」堀米雄斗が明かす“最後の一本”への思い…“スケボー禁止”の張り紙前で「撮影」を提案した意図とは?で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。