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名将ズバリ「センチメートルの問題だ」日本女子バレー再建のカギはやっぱり“身長”? じつは崩壊寸前だったイタリアに学ぶ金メダルへの施策
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAP/AFLO
posted2024/08/20 11:03
パリ五輪では惜しくも予選ラウンド敗退となったバレーボール女子日本代表
代表の危機に急遽招聘された名将ベラスコは、空中分解寸前だったチームに多くを求めず、選手たちにとって何が大事かだけを説いた。
「代表チーム全員が仲良しこよしでなくていい。ただし、ボールは落とすな」
御年72歳のベテラン指揮官は、優勝後のインタビューで「選手たちに求めたのは自立と自律」とも明かしている。
スポーツの枠組みを越えた社会的影響力をもつスター選手エゴヌを初め、代表選手にはそれぞれエゴもプライドもある。ただし、代表では眼の前の一球一球に集中し、チームで結果を出すことが最優先だと諭した。
「私たちは全員“虎の眼”をしていた」
心酔した選手たちは、前監督を職から追い落としたという自覚があるからこそ、正しいのは自分たちだと証明する覚悟で五輪に臨んだ。ベストセッターを受賞したアレッシア・オッロの優勝直後の言葉に気迫がこもっている。
「私たちは何が何でも金メダルが欲しかった。コートに入るとき、私たちは全員“虎の眼”をしていた。相手も試合も最初から“真っ二つにぶった斬ってやる”とだけ思っていた」
日本はポーランドとのプール初戦、第1セットを先取しながらも競り負け、続くブラジル戦でもあえなくストレート負けを喫している。
決して日本の選手たちに監督や協会に反逆せよと求めるわけではない。だが、勝利や信念のために自分たちを追い込み、相手を喰らい尽くしてでも勝つという金メダル国のメンタルの持ち様に倣うところはあるはずだ。