オリンピックへの道BACK NUMBER
「類まれな身体能力」「体重がありながら…」関係者が語る斉藤立の“人柄だけじゃない”本当の評価…パリ五輪まさかの5敗でも、規格外の将来性
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2024/08/16 11:03
パリ五輪ではリネールとの2連戦でも話題を集めた斉藤立
元来は温厚、優しい性格だからこそ…
晴れてオリンピックの代表をつかむと、期待は一層大きくなっていった。だが、迎えたパリで敗れ続けたことに厳しい意見もみられる。柔道ファンのみならず、一般の人々も関心を持つ大一番での敗戦であったからなおさらだ。試合内容を問う声もあった。いかにリネール相手であったとしても慎重過ぎるのではないか、自ら仕掛けていくべきではないか等々。もどかしさを感じる人も少なくなかった。
元来は温厚、優しい性格とも言われる。スペイン戦のあと、鈴木監督に一喝されたと言う。
「桂治先生に呼ばれて、『お前はよく死ぬ気でって言葉を使うけれど、今がそのときじゃないのか、俺もあそこで死ぬから、お前も一緒に死ぬんだ。そういう気持ちでやっていくんだよ』と」
斉藤の性格を知るからこその鼓舞だったかもしれない。
父の存在もあり、柔道人生において重圧はいつもあっただろう。だが逃げだすことなく、勝負の世界から退くことなく、受け止めて応えようと努めてきた。それも斉藤の一面だ。
「4年後、やり返さないといけません」
涙にくれながら、斉藤は言う。
日本が大きな期待を寄せる大器は、2028年ロサンゼルス五輪を見据える。