選手層の厚さで知られる名門だけにチーム内での競争の激しさは常であるし、本人も「悔しさはありますけど、練習からアピールして、試合では勝つために自分にできることをするだけです」と現状を甘受している。

　そうは言っても、ラマルは中学時代に所属していた愛知港ボーイズから名が知られる存在であり、大阪桐蔭へは鳴り物入りで入学してきたような選手だ。高校でも1年秋からベンチ入りするなど下級生時代から経験を積み、今春のセンバツでも全試合に4番バッターとしてスタメン出場を果たしていた。「スリランカ出身の両親を持つ」といった出自も有名ではあるが、それ以上に際立つのが野球選手としての非凡な能力なのである。

初戦の興南戦で4番を務めたのは徳丸快晴　©JIJI PRESS

なぜ「センバツの4番打者」が控えに…？

　ラマル自身、そういった境遇に身を置きながら葛藤もしてきた。

　注目され、打てば称賛、ミスをすれば非難。大阪桐蔭という名門の宿命と向き合い、辛抱強く野球に励んでいるとはいえ、「いろいろ考えることはありました」と吐露する。

「注目されているとか、そういうことを考えてしまうとプレッシャーになると思いながらも考えてしまっていたというか。1年の秋くらいから2年生まではそういうような状態でした。でも結局は、普段からやれていないことを試合でできるわけがないんで、目の前のこととしっかり向き合うというか、チームが勝つために自分にできることを考えるようになってからは、そういうのはなくなりました」

　ラマルは3年夏の現在地を受け止めている。

　控えに回る理由のひとつに、課題とされている内野守備がある。

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