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親友が突然がんを宣告され…「北口(榛花)さんを見ると森ちゃんを思い出す」池田久美子が語る、26歳で他界した砲丸投げ・森千夏との約束

posted2024/08/09 11:02

 
親友が突然がんを宣告され…「北口(榛花)さんを見ると森ちゃんを思い出す」池田久美子が語る、26歳で他界した砲丸投げ・森千夏との約束<Number Web> photograph by AFLO SPORT

2006年8月9日、26歳の若さで亡くなった森千夏さん。元同僚で、親交が深かった井村(旧姓・池田)久美子が思い出を振り返った

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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AFLO SPORT

 女子やり投げ・北口榛花(26歳)の台頭で注目が集まる投てき界で活躍が期待された一人の選手がいた。女子砲丸投げで、今も破られることのない「18m22」という日本記録を残した森千夏さんだ。20年前のアテネ五輪では同種目の日本勢としては40年ぶりの出場を果たし、歴史にその名を刻んだ。だが、誰もがさらなる飛躍を確信していた2006年、森さんは26歳の若さでこの世を去った。現在の陸上界にもつながる功績を改めて振り返る。【NumberWebノンフィクション全2回の1回目】

 熱狂が続くパリ五輪もいよいよ終盤に差し掛かった。8月1日から陸上競技も始まり、フランス最大のスタジアム、スタッド・ド・フランスでは日々熱い戦いが繰り広げられている。

 10日にはいよいよ昨年の世界選手権覇者、女子やり投げの北口榛花が金メダルに挑む。

 投てき界のエースが新たな歴史の1ページを紡ごうとする今からちょうど20年前。北口と同じ投てき種目でアテネ五輪に挑んだのが、女子砲丸投げの森千夏さんだった。女子砲丸投げでは日本勢40年ぶりとなる五輪出場を果たした彼女は、2000年に初めて日本記録を樹立して以来、7度も自身の記録を更新した。

 日本女子が世界に太刀打ちできなかった投てき種目で、当時、ただ一人高いレベルの記録を出していた。世界には及ばなかったものの、20mの大台を視野に入れ、1cmでも遠くに投げるための努力を惜しまなかった。

「北口さんを見ていると、森ちゃんを思い出す」

 北口がダヴィッド・セケラック氏から指導を仰ぐためにチェコに渡ったように、森さんも誰よりも強くなりたい一心で、当時ではめずらしかった海外挑戦を選択。砲丸投げの強豪・中国に何度も渡り、現地のコーチから指導を受けていた。

 親友で走り幅跳びの元日本記録保持者、井村(旧姓池田)久美子さんが振り返る。

「北口さんを見ていると、いつも“森ちゃん”みたいだなって思うんですよ。ニコニコした笑顔も雰囲気もすごく似ているし。きっと彼女のあの笑顔の裏では大変なこともあったはず。それでも前を向いて進んでいるのは一緒だなって」

 2008年北京五輪では必ず入賞し、さらにその4年後には金メダルを獲る――そんな青写真を描いていた矢先、2006年8月9日、森さんは虫垂がんのため26歳という若さで亡くなった。

【次ページ】 出会いはお風呂の脱衣所「池田さんですよね?」

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