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親友が突然がんを宣告され…「北口(榛花)さんを見ると森ちゃんを思い出す」池田久美子が語る、26歳で他界した砲丸投げ・森千夏との約束
posted2024/08/09 11:02
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
AFLO SPORT
熱狂が続くパリ五輪もいよいよ終盤に差し掛かった。8月1日から陸上競技も始まり、フランス最大のスタジアム、スタッド・ド・フランスでは日々熱い戦いが繰り広げられている。
10日にはいよいよ昨年の世界選手権覇者、女子やり投げの北口榛花が金メダルに挑む。
投てき界のエースが新たな歴史の1ページを紡ごうとする今からちょうど20年前。北口と同じ投てき種目でアテネ五輪に挑んだのが、女子砲丸投げの森千夏さんだった。女子砲丸投げでは日本勢40年ぶりとなる五輪出場を果たした彼女は、2000年に初めて日本記録を樹立して以来、7度も自身の記録を更新した。
日本女子が世界に太刀打ちできなかった投てき種目で、当時、ただ一人高いレベルの記録を出していた。世界には及ばなかったものの、20mの大台を視野に入れ、1cmでも遠くに投げるための努力を惜しまなかった。
「北口さんを見ていると、森ちゃんを思い出す」
北口がダヴィッド・セケラック氏から指導を仰ぐためにチェコに渡ったように、森さんも誰よりも強くなりたい一心で、当時ではめずらしかった海外挑戦を選択。砲丸投げの強豪・中国に何度も渡り、現地のコーチから指導を受けていた。
親友で走り幅跳びの元日本記録保持者、井村(旧姓池田)久美子さんが振り返る。
「北口さんを見ていると、いつも“森ちゃん”みたいだなって思うんですよ。ニコニコした笑顔も雰囲気もすごく似ているし。きっと彼女のあの笑顔の裏では大変なこともあったはず。それでも前を向いて進んでいるのは一緒だなって」
2008年北京五輪では必ず入賞し、さらにその4年後には金メダルを獲る――そんな青写真を描いていた矢先、2006年8月9日、森さんは虫垂がんのため26歳という若さで亡くなった。