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「イタリアは九死に一生を得た」「ヤマモトの銅像を建てろ」バレー大国にとっても“歴史に残るゲーム”だった日本戦「彼らはアニメの世界にいる」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byAP/AFLO

posted2024/08/07 18:00

「イタリアは九死に一生を得た」「ヤマモトの銅像を建てろ」バレー大国にとっても“歴史に残るゲーム”だった日本戦「彼らはアニメの世界にいる」<Number Web> photograph by AP/AFLO

何度もチームを救ってきたリベロ山本智大のスーパーレシーブ。イタリアの中継でも絶賛されていたという

「イタリアが苦戦した原因はジャンネッリだ。最初の2セットはトスが全然走っていなかった。ミドルブロッカーを使えていなかった。彼は3度目の五輪でキャプテンマークを巻いている。チームが劣勢なら、責任はハッキリと彼にある。イタリアは2022年の世界選手権優勝チームだよ。五輪の予選プールを全体1位で通過した現世界王者が仮にベスト8で敗退となれば、それは明らかな失敗だと見なされる。プロジェクト全体の敗北だ」

 何の呵責も忖度もなく、記者は明快に述べた。選手個人と競技への敬意に基づいた正当な指摘だ。勝った試合の直後にこの議論ができる土壌は日本にあるだろうか。バレー王国には、あくまで挑戦者だった日本にはわからない領域のプレッシャーがあった。

「アニメの世界から飛び出てきたようなチーム」

 最終セットの最後の場面、ネットの真上に高く上がったボールを押し込んだのはミドルブロッカーのロベルト・ルッソだった。パジーニ記者は、試合直後にルッソが「あの瞬間、“落とす”ということしか考えられなかった」と漏らしたことを教えてくれた。

 劇的な勝利の後、ルッソは母国メディアに率直な意見を吐露している。疲労困憊の選手たちには飾った言葉を選ぶ余裕はなかった。口をついて出てきたのはどれも本音だった。

「本当に難しい試合だった。日本のレシーブ能力が高いのはわかっていたし、彼らとの試合は長時間になることが多いが今回は特に1本の映画のようだった。彼らはアニメの世界から飛び出てきたようなチームだった。マジでそう感じたよ。彼らは何でも思うがままにプレーをして、試合を支配していた」

 “アニメのようなチーム”とは称賛のようだが、西洋的価値観からすると“この世での人智を超えている”という、一種のホラー的解釈もできる。日本に畏怖したのはルッソだけではない。

(つづく)

後編も引き続き、イタリア代表の選手の言葉を紹介する。日本代表の夢を阻んだ身長2mのセッター、シモーネ・ジャンネッリ主将は崖っぷちの第3セットで何を考えていたのか。

#2に続く
「我々も敗北を重ねてきた」日本バレー絶賛のイタリア人記者が“2028年ロス五輪”に期待「ランをはじめ、強力な若手がいる国はそう多くない」

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