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「イタリアは九死に一生を得た」「ヤマモトの銅像を建てろ」バレー大国にとっても“歴史に残るゲーム”だった日本戦「彼らはアニメの世界にいる」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byAP/AFLO

posted2024/08/07 18:00

「イタリアは九死に一生を得た」「ヤマモトの銅像を建てろ」バレー大国にとっても“歴史に残るゲーム”だった日本戦「彼らはアニメの世界にいる」<Number Web> photograph by AP/AFLO

何度もチームを救ってきたリベロ山本智大のスーパーレシーブ。イタリアの中継でも絶賛されていたという

 イタリアの中継でとりわけ絶賛されたのは、リベロの山本智大だ。

 試合前日、「日本で最も警戒すべき男」として敵将デ・ジョルジから名指しでマークされていた山本は、イタリア戦でも異次元のレセプションとディグを披露。驚愕しきりの実況中継では名コメントが連発された。

「勝っても負けてもこの試合のMVPは絶対にヤマモト」
「五輪の後、ヤマモトは日本の国民的英雄として表彰されるにちがいない」
「日本はヤマモトの銅像か記念碑を作るべき」

 あの日、パリ南アリーナを席巻した日本チームに、イタリアは畏怖した。タイブレークまで持ち込まれた熱戦の勝敗は、最後の最後までどちらに転んでもおかしくなかった。

「もし、あの第3セットを100回やったら、99回は日本が勝つだろう。日本はそれほど圧倒的だった」

ベテラン記者はやはり「セキタ」を褒める

 試合後、イタリアバレー界の重鎮記者ジャンルカ・パジーニ氏に話を聞いた。

「2008年の北京五輪予選、東京ラウンドでの対戦を思い出したよ。あのときもセットカウント2-1でリードしていた日本がイタリアに逆転負けを喫した。だが、さすがに今回の衝撃度には及ばない。試合の潮目を変えた分水嶺ははっきりしている。第3セット終盤、日本の3度目のマッチポイントから一転、24-24の同点にした(セッターのシモーネ・)ジャンネッリのサービスエースだ。

 セッターとしてはやはりセキタ(関田誠大)が素晴らしかった。コートと味方を操り、イタリアを翻弄した。もう彼をこの五輪で見られないのはとても残念だ。ニシダ(西田有志)はエネルギーの塊だったし、ユーキ(石川祐希)はいくつか彼らしくないミスをしたがキャプテンシーを見せて素晴らしいゲームをした。もちろんラン(高橋藍)もね」

 パジーニ記者はセリエAでプレーしてきた日本人選手を高く評価し、温かく見守ってきた。その反面、勝った自国の選手に対する評価は厳しい。

【次ページ】 イタリアはなぜ苦戦したのか?

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