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広陵・高尾響、報徳学園・今朝丸裕喜だけじゃない! スカウトたちが熱視線…“100年目の甲子園”で注目したい5人の「無名の逸材」たち
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2024/08/07 18:16
今朝丸裕喜&間木歩の両エースに注目が集まる報徳学園(兵庫)だが、スカウトは三塁を守る西村大和も要チェックだという
内野手といえば、予選から評判が高いのが、花咲徳栄高・石塚裕惺遊撃手(3年・181cm83kg・右投右打)だが、花咲徳栄の野手は、石塚ばかりじゃない。
走・攻・守にわたって高いレベルで三拍子そろっているのが生田目奏中堅手(3年・174cm73kg・右投左打)。快足のリードオフマンだったが、今夏は3番に抜擢され、ポイントゲッターとしても奮闘した。
中でも、生田目中堅手のスローイング能力は、プロのレベルに近い。余裕を持って投げた時は、70メートル前後をライナー性の軌道で投げられて、打球に食い込まれてバックステップになっても、スナップスローでカットへ矢のような返球で、カットがつないで投げやすいポイントに投げている。
50m6秒0をきりそうな俊足で、左中間、右中間の打球を地面スレスレでスライディングキャッチの球際の強さ。ちょっと線が細いかな……と思われたバッティングも、今夏予選では、広い県営大宮球場のライトスタンドに弾丸ライナーで放り込み、積み重ねてきた努力の確かな成果を披露してみせた。
総合力なら、高校球界ナンバーワン外野手でもおかしくない実力派だ。
青森からは勝負根性あふれる「隠れた快腕」
間違いなく全国レベルの実力派エースのはずなのに、県大会での報道があまりなされなかった剛腕・快腕もいて、青森山田高・関浩一郎投手(3年・186cm89kg・右投右打)もその一人だろう。
「オレが投げずに、誰が投げるんだ!」
そんなエースの矜持が、マウンドの立ち姿から発散している。雄大な体躯から投げ下ろす剛速球は、コンスタントに145キロ前後をマークしながら、これ見よがしの力任せがない丁寧なピッチング。鋭くタテに変化するスライダーとの緩急で奮投した春の東北大会では、ここ一番にひたすら剛速球で押した好リリーフに、「自分のストレートは誰にも打てないと思ってますから」と試合後、記者たちを見渡しながら言いきった勝負根性には「お見事!」と唸るしかなかった。