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広陵・高尾響、報徳学園・今朝丸裕喜だけじゃない! スカウトたちが熱視線…“100年目の甲子園”で注目したい5人の「無名の逸材」たち
posted2024/08/07 18:16
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
「甲子園100年」だという。
1924年(大正13年)に誕生した甲子園球場が、今年で100年目を迎える記念の年に、顔を揃えた出場49校。
すでに予選の段階から、逸材報道は全国各地で「これでもか!」とばかりになされ、私もその末席をいただきながら、高校球児たちのプロフィールをお伝えしてきた。
それでも、まだ、まだ、いるんだ逸材は。
インターネットの時代になって、かつての新聞報道とは比較にならないほど量的に豊富になった「逸材報道」の、細かい網の目をくぐり抜けた実力者たちが、出場校の中にまだ何人も潜んでいる。
彼らの甲子園のグラウンドでの躍動を、ぜひお見逃しなく。
そんな思いで、5人の高校球児たちのあれこれを、ここに記したい。
プロ注の筆頭・高尾擁する広陵高だが…?
「広陵の高尾」なのか、「高尾の広陵」なのか。
それほどまでに、広陵高のマウンドといえば、2年前の夏から、高尾響投手(3年・172cm73kg・右投右打)の一人占め状態だった印象がある。
「広陵高の長い歴史の中で、1年生に夏の背番号1を任せたのは、高尾が初めて」
当時、中井哲之監督がおっしゃっていた通り、その後、今春のセンバツまで、広陵高の「絶対的エース」という立ち位置は、高尾投手がずっと担ってきた。
そう思い込んでいたから、今夏の広島大会もかなり深まった試合で、先発投手が「高尾」でなくて「ええっ!」と思った。代わり(失礼!)に、先発のマウンドに上がった投手の快投に、もっと驚いた。
広陵高・山口大樹投手(3年・178cm74kg・左投左打)。
高尾投手とは対照的な、スリムなユニフォーム姿のサウスポーだ。三次市・十日市中学の軟式野球部出身だから、ゴツゴツ感のないしなやかな腕の振りから、140キロ前後の速球の伸び感が頼もしい。ウェイティング・サークルから眺める分には「普通だな」としか思わなくても、打席に立つとドーンと来られて、「ええっ!」と驚くボールの質だ。