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なぜ関田誠大のトスは打ちやすい?「トリッキーにも見えるけど…」元日本代表・清水邦広が語る、味方だけがわかる天才セッターの“絶妙な匂わせ” 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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posted2024/08/01 17:02

なぜ関田誠大のトスは打ちやすい?「トリッキーにも見えるけど…」元日本代表・清水邦広が語る、味方だけがわかる天才セッターの“絶妙な匂わせ”<Number Web> photograph by Volleyball World

絶大な信頼を寄せられるセッター関田誠大(30歳)。不遇時代を知る清水は、記憶に残る食事会のエピソードを明かした

「大学の時は(深津に)今以上に『俺に持って来い』と言い続けていました。自分一人でセッターを助けたい、試合に勝たせたいという気持ちが強すぎて、極端に言うなら『ミドルになんて上げるな』と思っていました。そのせいで、深津のトス回しの伸びしろを少なくさせてしまったのかもしれません」

 とはいえ、深津も関田と同様にいかなる時も妥協せず、努力を重ね続けてきた選手だ。東海大時代は、全体練習後、清水と「1~2時間は当たり前」というスパイク練習。清水は欲しいトスが来なければ深津に容赦なく注文をつけ、時には打つこともしないほど厳しく接した。「今思えばむちゃくちゃだった(笑)」と振り返る先輩のもと、確かに得た武器もある。

「ライト側へのトスは本当にいい。特に左利きの選手に対するトスの長さが、ちょうどいいんです。(日本代表で)2枚替えで宮浦(健人)選手と入る時も、深津は宮浦に託しやすいだろうし、宮浦も打ちやすいだろうなと思いながら安心して見ています」

 清水自身、現在も現役選手として鍛錬を続けているが、日本代表の活動からは2021年東京五輪を最後に離れた。今も日本代表に近い立場で接しているが、一人のOBとしてではなく、選手の立場としてうらやましく感じることしかないと笑う。

「もっと若かったら、絶対この日本代表でプレーしたい。たぶん僕だけじゃなく、バレーボールをやっている男子選手が全員、それこそ高校生や大学生だって『この日本代表でやりたい』と思わせてくれる日本代表。それって、すごくないですか? そんなチームだからこそ、オリンピックでもやってくれる。僕は本気でそう思っています」

 清水を含め、男子日本代表で長らく勝てない時代を経験してきた。「こんな日がくるなんて」と目を輝かせる背景には、忘れもしない16年前、北京での苦い記憶があった――。

つづく

第2回は、日本代表セッターとして北京五輪に出場し、現在は強豪・大村工業高を率いる朝長孝介氏のインタビューです。

#2に続く
「関田くんは歴代No.1」では、なぜもう一人のセッターが37歳深津旭弘だったのか? 元日本代表セッター・朝長孝介が語る“二番手”の重要性

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