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実はインターハイ準優勝&代表選手のコーチ経験も!?…『おかあさんといっしょ』“誠お兄さん”が見た体操団体金メダル「演技に孤独感がなかった」 

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福尾誠

福尾誠Maokoto Fukuo

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photograph by(L)事務所提供、(R)Naoya Sanuki/JMPA

posted2024/08/01 11:35

実はインターハイ準優勝&代表選手のコーチ経験も!?…『おかあさんといっしょ』“誠お兄さん”が見た体操団体金メダル「演技に孤独感がなかった」<Number Web> photograph by (L)事務所提供、(R)Naoya Sanuki/JMPA

人気番組『おかあさんといっしょ』の“誠お兄さん”こと福尾誠さん(左)。実は今回のメダリストたちのコーチも務めた体操選手だった過去を持つ

 27歳のチーム最年長で、主将という立場もあり、彼がチーム全体の雰囲気の土台を作っていたのは間違いないと思います。あん馬で橋本(大輝)選手に落下のミスがあっても「絶対諦めない!」と声をかけ、嫌な雰囲気ひとつ出さない。そこはやっぱり彼の強みかなという風には感じました。

 僕がコーチとして関わっていた順大時代から、やっぱり何事にも諦めない気持ちを持って、その気持ちをただ秘めるだけでなく、日々の努力につなげることは人一倍やっていたと思います。その彼の信念がチームを今回の優勝に導いてくれたんじゃないかなと思います。

 萱選手は2016年のリオ五輪は補欠であったため出場できなかった。2021年の東京五輪は出場こそしましたが、金メダルが獲れなかった。その悔しさは彼にしか分からない部分ではありますけど、それを口だけではなく日々の行動や演技そのもので見せてくれる。そういう強さが萱選手にはありました。演技の後にはガッツポーズや雄たけびを上げて、チーム全体を鼓舞してくれた。その勢いが逆転を呼び込むことになったのは間違いないと思います。

谷川選手の演技に対する「執着と集中力」

 萱選手と同級生の谷川(航)選手も、そんなに口数の多いタイプではないですが、とにかく根性がある選手という印象です。

 僕が記憶に残っているのは、指導していた時のある大会のあん馬の演技で、肘が曲がり、姿勢が潰れてしまう状態になりました。普通の選手だったら落下すると思います。でも、そこで落下をせずに根性で最後まで通し切って帰ってきた試合があったんです。それを見た時に「自分の演技」への執着と集中力は、「ちょっと常人離れしているな」と思いました。それが彼の強さなんだと思います。

 今回も決勝の舞台では、予選での跳馬で挑戦したブラニク(前転とび前方屈身2回宙返り)ではなく、さらに難度を上げたリ・セグァン2(前転とび前方屈身2回宙返りひねり)に挑戦しました。結果的に採点上は膝の曲がりがみられ、本来の技認定がなされなかったものの、失敗しても守りに入ることなく攻めた演技をするという意識は、チームにとって大きな意味があったと思います。

【次ページ】 初出場の2選手も「のびのび演技していた」

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