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オリンピックPRESSBACK NUMBER
実はインターハイ準優勝&代表選手のコーチ経験も!?…『おかあさんといっしょ』“誠お兄さん”が見た体操団体金メダル「演技に孤独感がなかった」
posted2024/08/01 11:35
text by
福尾誠Maokoto Fukuo
photograph by
(L)事務所提供、(R)Naoya Sanuki/JMPA
60年以上続く人気番組NHKEテレ『おかあさんといっしょ』で第12代「体操のお兄さん」を務めたのが「誠お兄さん」こと福尾誠だ。2019年に番組に抜擢されると、昨年引退するまで親しみやすいキャラクターで人気を集めた。そんな福尾だが実は幼少期から体操競技をはじめ、インターハイの個人総合で準優勝、順大時代は五輪出場を目指すなど日本トップクラスの選手だった過去がある。大学院時代には金メダルメンバーの萱和磨、谷川航のコーチも務めた経験を持つ「お兄さん」は、今回のパリでの偉業をどう見ていたのか。《全2回の1回目/2回目を読む》
僕もエンタメに関わる人間として、今回の五輪での展開は本当にドラマチックで、感動する「作品」に出会えたような気持ちでした。特に素晴らしいのが、これが筋書きのない完全なノンフィクションだということです。
もちろん最終種目の鉄棒は落下リスクのある種目ではありますから、中国選手の2度の落下というのも可能性という部分で言えばゼロではなかった。もちろん日本選手も同じ状況ということです。とはいえ世界のトップレベルの戦いの中で、1種目で3点以上の差という信じ難い点差を覆しての金メダルというのは、もはやフィクションの域に達しているとすら思いました。
「スポーツの枠を越えた」金メダルのドラマ
多くの人が諦めてしまうのではないかという点差の中で、最後まで諦めなかった選手たちの精神力はスポーツの枠を飛び越え、「もはやエンターテイメントなのか?」と感じました。たしかに中国選手のミスはあったものの、日本チームが誰一人諦めずに得点を重ねたからこそ金メダルまでたどり着けたのだと思います。
4種目でトップバッターを務め、ノーミスで戦いきった主将の萱(和磨)選手は本当に「素晴らしい」の一言ですね。あれだけプレッシャーのかかる場面で、重圧に押しつぶされずに自分の演技ができるのは本当にすごいことです。