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「だいじょぶ。信じてるから…」なでしこ清水梨紗、悲運のヒザ負傷離脱…“テレビが報じない”仲間の絆「ただ心配で」「梨紗さんのために」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/07/28 12:04
ヒザの負傷で離脱が決まった清水梨紗。近年のなでしこ右サイドを支える28歳の離脱は痛いが、誰もが気丈に振舞った
「東京オリンピックまで海外に行きたいなんて思ったことがなかった」
と言う清水が1年後にはイングランドスーパーリーグのウェストハム・ユナイテッドにたどり着いた。先発に定着して活躍するとともにベレーザ時代には経験できなかった、残留争いを経験。この夏からはマンチェスター・シティに羽ばたくことが決まった。
盟友・長谷川とリーグ優勝を狙い、欧州CLも予選2回戦から戦う、飛躍の1年になるはずだった。
清水は自身について「サッカーに対しては真面目なんです。他はぽんこつなんですけど」と言う。
「サッカーをしていると苦しい時の方が多くて。ストライカーの人って自分のゴールシーンずーっと見てるじゃないですか。私はディフェンダーなので、失点にはだいたい絡んでいるし、あたまに残るしずっと考えてるんです」
苦しいけれど、心配はしなくて大丈夫ですよ、というように付け加える。
「苦しいとはいえ、いつも“うううう”ってなってるわけではないので……なんて言えばいいのかわからないですけどね」
「だいじょぶだから、信じてるから頑張って」って
世代別代表でも目立った結果を残してきていない清水は金メダルへの思いを口にしてはばからなかった。
「私はそういう思いが強い方だと思います」
28歳という年齢で臨んだ、パリ五輪。清水は東京の記憶を払拭したかったはずだが、それは叶わなかった。
ブラジル戦前日のオンライン取材に対応した南萌華は清水について聞かれ、こう答えた。
「いままで一緒にやってきて、たくさん声をかけてもらって成長させてもらった選手です。このタイミングの離脱は悲しいし、チームとして痛いけど『私はだいじょぶだから、信じてるから頑張って』って言ってくれました。本人が一番つらいと思うけど、そういったことを言える偉大さを感じました。梨紗さんの分も走って戦い、より一層、梨紗さんのためにと思っています」
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最終ラインに共に並ぶ、仲間の離脱に思うところは多いはず。しかし試合間隔は中2日と短く、切り替えざるを得ない。