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「長年キャッチャーやっていて良かったな」前半戦首位ターンの巨人・阿部慎之助監督が自慢話? “何をやってくるか分からない”阿部野球とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/07/26 11:02
前半戦を首位で折り返した巨人・阿部慎之助監督。その手腕の秘密とは?
もちろん阿部監督の頭には岡田監督を揶揄する意図は微塵もないはずだ。むしろそれだけ警戒しているからこその発言だろう。だが、その警戒する岡田監督の発言を利用して、目指す阿部野球への布石を打てた。そのことは是非とも周知する必要があったのである。
昭和頭のパワハラ監督と揶揄されたこともあった。ユニフォームを脱いで指導者になった直後は、確かにこの監督、選手に対する圧の強さなどは昭和の指導者だったかもしれない。ただ、様々な批判にさらされる中で、指導者として確実に進化してきた。
そして残された昭和らしさは西武の黄金時代を指揮した森祗晶さんやヤクルト監督として宿敵・長嶋巨人と死闘を演じた野村克也さんの持っていた昭和の捕手的思考……投手を中心にした守りの野球を基調に相手との駆け引き、騙し合い、心理戦が勝負を分ける分岐点になるという考えだ。
まだまだ先人たちの域には達していないかもしれないが、それはまさに同じ捕手出身の指導者の性である。阿部監督の下で巨人が前半戦の主導権を握った背景には、紛れもなくそんな捕手出身監督の性があったということである。