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ボクシングPRESSBACK NUMBER
父・井上真吾トレーナーが明かす“井上尚弥vs.ネリ戦”の舞台ウラ…思わずニヤリとした“挑発ポーズ”「全然アリ、いいんじゃないかって」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/07/22 17:10
東京ドームで行なわれた井上尚弥と拓真兄弟のWタイトル戦を振り返った父・井上真吾トレーナー
「尚弥だって絶対はありません。変わらない気持ちで練習からやっていかないと足もとってすくわれますから。そのことは別に言わなくても、彼らは分かっている。満足もしないし、気を抜くことなくボクシングに打ち込んでいますから。もし万が一、負けることがあったとしても日々、全力でやっていたら後悔なんてしないじゃないですか。そのときは相手が強かった、で済ませばいい。でも余裕ぶっこいて負けたら間違いなく後悔する。だから気を抜いちゃいけないし、手を抜いちゃいけない。井上家に余裕なんてものは一切ないんです(笑)」
油断大敵というより井上家の場合は余裕大敵である。
「自分のなかで50代を受け入れてない」
今年8月で53歳を迎える。年齢的にはしっかりオジさんだが、疲れを寄せつけないその元にあるものは何か――。
彼は言う。
「自分のなかで50代を受け入れていないんですよ。受け入れたら、そのまま老いていくような気がしていて。だからお孫ちゃんたちには『25歳だよ』ってずっと言い続けてきましたから。さすがに小学生ともなると通用しなくなりますけど(笑)。おじいちゃんなんて絶対に呼ばせないですよ! ボスって呼んでもらっていますから。
仕事に対するストレスもないです。先ほども言ったように当たり前にやっているだけなんで。おかげさまで体の不調とかもまったくないですね。だって自分から元気を取ったら、取り柄がなくなってしまうんで(笑)。まあでも(健康診断を受けて)肝機能の数値は、お酒を飲む人の年齢に沿った数値でしたね。気をつけたらしっかり落ちたので、ちゃんと休肝日は設けていますけど」
気持ちは永遠の25歳でいるボス。
後悔ないように日々を送るから、ストレスもない。この親にしてこの子あり。このトレーナーにしてこのボクサーあり。余裕を寄せつけない井上真吾もまたモンスターなのかもしれない。
<前編から続く>