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パリ五輪は逃したけど…劇的メジャー初優勝・古江彩佳24歳は何がスゴい? 記者が驚いた「あゆ熱唱」宮里藍に続く世界1位も夢じゃない理由 

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田中宏治

田中宏治Koji Tanaka

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photograph byShizuka Minami

posted2024/07/17 17:01

パリ五輪は逃したけど…劇的メジャー初優勝・古江彩佳24歳は何がスゴい? 記者が驚いた「あゆ熱唱」宮里藍に続く世界1位も夢じゃない理由<Number Web> photograph by Shizuka Minami

エビアン選手権・最終日最終ホールでイーグルを奪い、メジャー初制覇を達成した古江彩佳(24歳)

「エビアン選手権」は古江の憧れの存在である宮里藍が米女子ツアー初優勝を果たした大会でもある。宮里はメジャー化前の2009、11年と2勝を挙げており、2017年の引退時にはこの大会を現役最後の試合に選んでいる。そして、古江自身にとってもターニングポイントとなった大会だ。

 初出場だった2020年に4位でフィニッシュ。プロ転向当初は「藍さんがアメリカに行って、日本で見られないのが寂しかったので、私はずっと日本でプレーする」と話していた古江が、米女子ツアーを目指す大きなきっかけとなった。

 当時は東京五輪の代表争いに敗れ、失意の中での自身2度目の海外メジャー挑戦だった。4年後の今回もパリ五輪の日本代表を逃した直後。本人もインタビューで口にしていた通り、同じフランスの地で悔しさを晴らすメジャー初制覇となった。

マイペース伝説「車内で“あゆ熱唱”」

 思い入れのある大会とあって、優勝インタビューでは珍しく緊張したことも明かしていたが、古江はもともと「ゴルフで緊張したことはない」という強心臓の持ち主だ。

 ある年のオフにゴルフ場で取材をさせてもらった帰り「タクシーを呼ぶなら、駅まで乗っていけば」と母・ひとみさんのご厚意で、古江の車に同乗させてもらったことがある。短い時間とはいえ、車内で何を話すのか、と筆者が話題を探していると、すぐに大音量で音楽が流れ始めた。大ファンの浜崎あゆみのコンサートのDVDで、古江は振り付きで歌い出した。しかも、口ずさむのではなく大熱唱。取材で何度も顔を合わせているとはいえ、他人のオジサンが乗っていても気にしない。

 試合中は「チキン(臆病者)になるから」と鶏肉は口にしないというが、そんなゲン担ぎは必要ないと思えるほど、マイペースで臆するとことがない。だからこそ、どんな試合でも変わらず、安定して力を発揮できるのだろう。

 メジャー制覇を果たした古江にはさらなる夢や期待が広がる。宮里に続く日本人2人目の世界ランク1位、岡本綾子以来となる米女子ツアーの年間女王、メジャーでのさらなる優勝、そして4年後のロス五輪では今度こそ日の丸を背負ってプレーし、メダルを手にする姿が見られるかもしれない。

 古江が次のゴールに辿り着く瞬間を楽しみに待ちたい。

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