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「自分のケツは自分で拭け!」巨人・斎藤雅樹の“更新不可能な記録”11連続完投勝利は藤田監督の“スパルタ教育”から生まれた「僕みたいに未熟な者が…」
posted2024/07/15 11:01
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
プロ野球にはほぼ誰も塗り替えることが不可能と考えられている「アンタッチャブル・レコード」というものがある。
例えばメジャーリーグでは2004年にシアトル・マリナーズのイチロー外野手(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が84年間、破られることのなかったジョージ・シスラーの257安打を更新し、最終的に262安打としたシーズン最多安打記録。またサンフランシスコ・ジャイアンツのバリーボンズ外野手の持つ通算762本塁打(この記録には薬物疑惑問題から否定的な意見もあるが)も「アンタッチャブル・レコード」と言われている。
一方、日本でも巨人・王貞治一塁手(現ソフトバンク球団会長)の通算868本塁打や国鉄、巨人で活躍した金田正一投手の通算400勝、東映、巨人などで活躍した張本勲外野手(現評論家)の通算3085安打なども、NPBの「アンタッチャブル・レコード」として歴史に輝くものである。
斎藤雅樹が樹立した「アンタッチャブル・レコード」
そしていまから35年前の1989年7月15日に、これも今後、塗り替えられることはほぼないであろう「アンタッチャブル・レコード」が樹立された。
この日の東京ドームで行われた巨人対ヤクルト戦で先発した巨人・斎藤雅樹投手は、9回を投げてヤクルト打線を3安打完封。この完投勝利で近鉄・鈴木啓示投手の持つ記録を、11年ぶりに更新する11試合連続完投勝利を達成したのである。
当時はすでに各チームでクローザーが活躍していたものの、一方で主力投手には1試合を任せ、完投を求める考えが色濃く残る選手起用が主流だった。実際に1988年のセ、パ両リーグを合わせた完投数は441。2023年にはその数字は73完投と約6分の1まで減少している。
ピッチャーを諦めかけた時もあった
ただそれだけ先発完投を求められた時代背景があったとしても、1人の投手が11試合連続で完投し、しかもそのすべてを白星で飾る。斉藤の樹立したこの「アンタッチャブル・レコード」は、やはりプロ野球史の中でも、特筆すべきものということができる。