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〈球団新記録〉228セーブのロッテ・益田直也に『幕張の防波堤』小林雅英が伝えたこと「俺の記録を抜いてからにしろ、と言ってきたけれど…」
posted2024/07/01 11:02
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
「オッシャー!」。幕張の夜空に向かって吠えた。
6月26日のイーグルス戦で3点リードの9回に登板したマリーンズの益田直也投手は、三者凡退で試合を締め、今季10セーブ目を記録した。これで6年連続2桁セーブに到達、そして通算228セーブ目。これはOBの小林雅英氏が記録した227セーブを抜き、球団新記録となったことを意味していた。
「まだまだこれから」
「小林雅英さんにはコーチの時に『俺の記録を抜いてから偉そうなことは言え』と言われてきた。そういう意味ではこの数字に到達して、嬉しいなあという思いはありますが、まだまだこれからだと思います。頑張ります」
試合後、ロッカーに戻った益田は大粒の汗を拭いながら、しみじみと語った。
記録を抜かれた小林雅英氏は、そのニュースを栃木県小山市内の自宅で知った。現在は栃木県を本拠地にする社会人野球チームのエイジェックの投手コーチとして都市対抗野球での優勝を目指し、指導を行う日々を送っている。古巣マリーンズの試合は観戦する時間はなかなかないが、ネットで必ず試合結果はチェックしている。この日もニュースを見て、ついに後輩が記録を抜いたことを知り、ニヤリと笑った。
小林氏が語る益田の快挙
「いつも、そうやってハッパをかけていたからね。なにかあるたびに『まずは俺の記録を抜いてからにしてくれ』と話をしていた。そういう意味では感慨深いものがあるよね。記録は抜かれるものだから。おめでとうと言ってあげたい」
後輩の快挙を喜び、さらにこう続けた。
「ただ、セーブは自分だけで出来るものではない。先発投手と中継ぎ投手が必死に繋いで打線も打ってくれて、リードしているシチュエーションを作ってくれている。最後に首脳陣が自分を指名してくれて、マウンドに向かって、そこで抑えてこそ成り立つ。だから周りに感謝して欲しい」
そして豪快に笑った。
「まあ、俺は9年間でその数字になったけどね。益田は13年間かあ」
マリーンズでの「最後のセーブ」
ちなみに小林雅英氏がマリーンズで227セーブ目を挙げたのは2007年10月5日、ZOZOマリンスタジアムでの18時16分開始のナイトゲームだった。相手は益田の登板時と同じくイーグルス。1対0のゲームの最後を打者3人で締めくくり27セーブ目を挙げた。先発したのは小野晋吾(現一軍投手コーチ)で7勝目。決勝点は3回にレフト前にタイムリーを放ったベニー・アグバヤニ外野手だった。