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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「ヘアスタイルを変えろ」石川真佑を覚醒させた女子バレー眞鍋政義監督“驚きの提案”「髪型を変えれば活躍できる…ポニーテールにしろ!」
text by
眞鍋政義Masayoshi Manabe
photograph byGetty Images
posted2024/07/02 17:01
2022年世界選手権の大会中に眞鍋政義監督の提案で髪型を変えたという石川真佑。覚醒のきっかとなったのか?
ブラジル戦のスターティングメンバーは、石川真佑(OH)、横田真未(MB)、林琴奈(OH)、井上愛里沙(OH)、山田二千華(MB)、関菜々巳(S)、福留慧美(L)。古賀の代わりに、井上をゲームキャプテンに指名した。 全員で古賀の穴を埋め、この難局を乗り切ろうーーそんな気持ちがチームに横溢している。ロンドンオリンピックの前のような“見えない力”が発動しようとしていた。
試合はいきなり石川のサービスエースでスタートした。序盤はブラジルにリードされたが、中盤以降、落ち着いて得点を重ね、第1セットを25-22で取った。第2セットも25-19と連取。第3セットはブラジルの反撃を受け、17-25で落とした。それでもひるむことなく、石川のサーブ、井上のバックアタックを活かして攻める姿勢を貫いた。
そして迎えた第4セット。マッチポイントでトスはレフトの石川に上がった。ブラジルのブロックは2枚。壁のようにそそり立っている。しかし、石川は落ち着いて相手の動きを見ていた。東京オリンピックの影はもうない。相手の手にうまく当てて、ブロックアウトを取った。25-20。セットカウント3-1。
世界選手権で最強軍団を撃破した意味
サブの選手がコートに駆け込み、歓喜の輪が広がる。観客席では、松葉杖をついた古賀がスタッフとハイタッチを交わしている。ブラジルに勝ったのは、2017年のワールドグランドチャンピオンズカップ以来5年ぶり。世界選手権ではじつに40年ぶりの勝利だった。ずっと勝てなかった最強軍団をついに倒した。しかも、世界選手権という大舞台で。この意味はとてつもなく大きい。
選手個々の数字もよかった。井上はなんと27得点。石川はそれに次ぐ18得点をあげた。さらに、林が16得点、ミドルブロッカーの山田が8得点。アタッカー陣をうまく使い分けた関のトスワークも冴えていた。リベロの内瀬戸と福留も、それぞれサーブレシーブ、ディグで安定したプレーを見せた。チームが一丸となって掴んだ勝利である。
髪型を変えることについて、石川が心の中でどう思っていたのかは分からない。本当に暗示にかかったのかもしれないし、監督から突拍子もない指示を受けて、逆にプレッシャーが抜けたのかもしれない。いずれにせよ、石川はこの試合で覚醒した。東京オリンピックの足枷から解放され、自由に羽ばたき始めた。
<前編から続く>