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パワハラ騒動で楽天退団→メキシコでオールスター出場…安楽智大、現地での“本当の評価”「通訳といつも一緒」「打者が慣れてきた。でも…」 

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中島大輔

中島大輔Daisuke Nakajima

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photograph byRyu Voelkel

posted2024/06/28 06:00

パワハラ騒動で楽天退団→メキシコでオールスター出場…安楽智大、現地での“本当の評価”「通訳といつも一緒」「打者が慣れてきた。でも…」<Number Web> photograph by Ryu Voelkel

楽天退団のきっかけとなったパワハラ騒動について『週刊プレイボーイ』で語った安楽智大。野球選手としてはメキシコでどのように評価されているのだろうか

 安樂が言うように今、メキシカンリーグはリーグビジネスに力を入れて急成長中だ。今季2球団が新たに加わって全20球団となり、外国人枠が7人から20人に拡大した。

 このルール改正をうまく活用しているのが、南地区で48勝13敗、勝率.787で2位に13.5ゲーム差をつけて独走するディアブロスだ(今季の成績は現地時間6月26日時点、以下同)。

 実業家で個人資産15億ドルとアメリカの雑誌「フォーブス」に報じられたこともあるオーナーのアルフレド・アルプ・エルの財力に支えられ、サイヤング賞投手のトレバー・バウアーやオールスター8度選出のロビンソン・カノなど元メジャーリーガーを次々と戦力に加えた。

日本と異なる“打高投低”で、フル回転

 一方、安樂はスプリングトレーニングに招待選手として参加し、正式契約に至った。ディアブロスでは勝ちゲームの8回を任され、チーム最多の31試合に登板。61試合消化時点の数字なので、2試合に1回は投げている計算だ。

 防御率は3.56。凡庸な成績に映るかもしれないが、ディアブロスのチーム防御率が4.03(南地区20チーム中3位)であることを考慮に入れると、メキシカンリーグでは悪くない数字と言える。規定投球回数に届いている先発投手で防御率3点以下は5人のみだ。

 近年、極端な“投高打低”が進む日米と異なり、メキシコ球界は伝統的に“打高投低”という特徴がある。その一因はメキシコシティをはじめ、高地の本拠地がいくつかあることだと言われる。

 MLBではコロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールド(標高約1600m)が打者有利のスタジアムとして名高いが、それは高地においては空気が薄くなってボールが飛びやすく、変化球の動きも小さくなるからだ。

 ただし、一概にメキシコと言ってもタイムゾーンが4つあるほど広大で、地域ごとに特色は異なるが、リーグとして“打高投低”なのは間違いない。ちなみに41歳になったカノは50試合で打率.452(リーグ1位)、OPS1.181(同2位)と打ちまくっている。

オールスター出場も、防御率が悪化。一体、何が?

 そんな環境で安樂は異なるマウンドやボールに適応し、「8回の男」としてチームの信頼を勝ち取っている。キャリア初のオールスターにも選出された。

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