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ドジャース1年目「いつクビになるか…恥ずかしいですが何回か泣きました」「不安そうだった家族の顔が」斎藤隆が味わった“地獄から天国”
text by
間淳Jun Aida
photograph byTomosuke Imai
posted2024/07/07 17:01
06年、ドジャースのクローザーを任された斎藤隆。しかしその胸中は、いつ職を追われるかもしれないという不安だらけだったという
「『great job』と言われると『ヨシっ』と思うのですが、自分の裏側にある不安との乖離が大きくなりました。今振り返っても、言葉に敏感になり、自分の感情の起伏が激しいシーズンだったと感じています」
斎藤はメジャー1年目、シーズンで72試合、さらにプレーオフでも2試合登板した。シーズン終盤にベンチのメンバーを見ると、開幕当初のロースターと半分ほどが入れ替わっていた。斎藤を含めてマイナーから選手が這い上がり、実績のある選手もメジャーで居場所を失っていた。
斎藤が語る。
「いつクビを切られるのか、その延長線上でずっとやっていました。クローザーになっても不安は抜けなかったですね」
不安そうだった家族の顔が全然違っていました
シーズン終了後、斎藤は家族が待つ日本に帰国した。空港でマスコミやファンに迎えられ、記者会見の場が設けられていた。海を渡った時は、ドジャー・スタジアムに記者が3人ほどしかいなかった。わずか1年で激変した。そして、家族の表情も1年前と変わっていた。
「不安そうだった家族の顔が全然違っていました」
夢をかなえた実感が、ようやく湧き上がった。
<つづく>