「この角を曲がったらダッシュしよう」

　通りの角を曲がった瞬間、2人は全力で走った。作戦は成功。買い物を満喫したのもいい思い出だという。

高校生の頃から大人だったイメージです

　あれから10年以上が経ち、大谷は世界を代表する選手となった。それでも、水本が大谷に抱く印象は変わらない。

「中身は高校生の時のままですね。インタビューを見ていても、マスコミには一定の距離を保っています。当時もメジャーに行くのか、日本のプロ野球に進むのか話題になっていましたが、記者がほしがるコメントを一切しませんでした。高校生の頃から大人だったイメージです。あの頃から、いろいろなことを考えて発言していたんだなと感じています」

　信頼する仲間の前では自分をさらけ出し、それ以外の場での発言にはセンサーを張る。周りに流されやすい高校生の時期でも、自分の価値観や考え方を貫く。

　それでいて、周囲には煙たがられずに愛される。野球引退後、起業家として奮闘する水本にとって――グラウンド外でも異彩を放っていた大谷翔平の記憶は今もなお強く残っている。

＜第1回、第2回から続く＞

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《大谷翔平世代のいま》大阪桐蔭春夏連覇の元主将が起業家に…引退後も「毎朝ワクワク」できているワケ「選手として勝ち目はないですが」