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年俸5000万の新外国人ヘルナンデスは巨人の起爆剤になれるか?「むちゃくちゃ打っていた」マイナー時代の筒香嘉智も絶賛…きっかけは粘着スプレー!?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2024/06/12 11:04
交流戦で初ホームランを放った巨人の新外国人ヘルナンデス。湿りがちだった打線の起爆剤となれるか?
5月1日にレンジャーズを自由契約となり、同10日には巨人が入団を発表。単年契約の年俸は推定5000万円という格安助っ人だっただけに、当初は球団内でもそれほど高い期待は抱いていなかったというのが本当のところのようだ。
何せここ数年、巨人がシーズン中に補強した外国人選手が活躍した例は皆無に近い。
インパクトのある活躍をした選手といえば、藤田元司監督時代の1992年のロイド・モスビー外野手まで遡る。モスビーは開幕から1週間もしない4月9日に獲得が発表され、4月21日のヤクルト戦で一軍デビュー。その試合でいきなり本塁打を放つと、翌々日には2試合連発。6連敗中だったチームを蘇らせた。打席や守備のときに、いつもクネクネと体を動かす独特のアクションで人気者となり、来日1カ月後の5月12日のヤクルト戦では4番を任されるまでになる。
この年は最終的には96試合の出場で打率3割6厘、25本塁打の71打点。残念ながらチームは優勝を逃したが、助っ人としては十分にチームに風を巻き起こす役割は果たした。
ただ、この年のモスビー以降は、なかなか“当たり”の途中入団助っ人にはお目にかかったことがないのも現実だ。負の歴史は30年以上も続いているのだから、ある意味、今回のヘルナンデス獲得にも阿部監督以下首脳陣がそれほど期待はしていなかったとしても頷けるものだった。ところがご存知のように交流戦から一軍登録されると、ヘルナンデスはモスビーのように、巨人打線に風を巻き起こす働きを見せた。
筒香が語るヘルナンデス「むちゃくちゃ打ってた」
予想以上……予想外……そんな言葉が飛び交う中で、「彼が日本で活躍するのは決して不思議ではないと思っていた」と語る選手がいる。
DeNAの筒香嘉智外野手だ。
筒香とヘルナンデスは2023年シーズンに、レンジャーズ傘下の3A、ラウンドロック・エクスプレスでシーズン前半を過ごしたチームメイトだった。
「とにかくマイナーでむちゃくちゃ打っていた選手でした」
筒香が振り返るように、23年シーズンの成績は137試合の出場で打率2割9分8厘の18本塁打、99打点。文句のない成績で、1度くらいはメジャー昇格のチャンスがあっても良かったようにも思う。