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年俸5000万の新外国人ヘルナンデスは巨人の起爆剤になれるか?「むちゃくちゃ打っていた」マイナー時代の筒香嘉智も絶賛…きっかけは粘着スプレー!?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2024/06/12 11:04
交流戦で初ホームランを放った巨人の新外国人ヘルナンデス。湿りがちだった打線の起爆剤となれるか?
「でも、40人枠の問題とかもあったんだと思いますが、全然、メジャーに呼ばれなかった。彼より成績の悪い選手が上がっていくのに、彼はずっとマイナーでプレーしていたので、僕も不思議に思っていました」
筒香自身もヘルナンデスの出身地・ドミニカ共和国のウインターリーグに参加したり、同国は何度も訪れている原点の地でもある。かたことながら少しスペイン語も話せることもあり、チーム内で、ヘルナンデスは特に仲の良かった選手の一人となった。
「彼を含めた中南米系の選手の3人のグループがあって、彼らと僕もロッカーとかでしょっちゅうお喋りをしていたんですね」
きっかけは「粘着スプレー」
仲良くなったきっかけは、バッティングのときにバットの滑り止めで使う粘着スプレーだった。
「アメリカでは主に松脂を固めたスティックを使うんですが、暑かったりすると粘着力が弱かったりあまり質が良くないんです」
そのため筒香はミズノ社製の粘着スプレーをわざわざ船便で日本からアメリカに送って、それを使っていた。ヘルナンデスは、そのスプレーにゾッコンだったのだという。
「ミズノのスプレーをくれないか、ってしょっちゅう言っていたんですよ。ただスプレー缶なので飛行機で持ってくることができず、取り寄せるにも船便で日にちもかかる。簡単には持ってこれなくて数に限りがあったんですけど、分けてあげました。今年もキャンプで会ったときに『ミズノのスプレー!』と言ってきて何本かあげましたね」
そんな筒香のヘルナンデス評は、真面目さと頭の良さだという。
「成績を残しているのになかなかメジャーに上がれなかったんですけど、決して腐ることなく一人で黙々と練習している姿を何度も見ました。スイングはコンパクトで、バットがインサイドから出てくる。決して大振りはしないんですが、逆方向に非常に強い球を打てていました。だから右中間、左中間のスタンドに放り込むパワーもある」
何よりよく考えて打席に立っていた。1打席、1打席、相手の攻め方をインプットしながら、次の打席で対応するという。
「外角の変化球で打ち取られると、必ず次の打席ではその辺を意識して工夫して打席に立っているのが分かるんです。そういう意味では日本にやってきて投手のタイミングや攻め方、配球の違いなど環境が変わっても、ある程度、対応してくるんだろうなと思っていました。だから現在の結果にも驚かないですし、不思議とも思わない」
筒香からもらったスプレー缶の数も記憶
そんな話を筒香とした翌日、今度はヘルナンデスと筒香の話をする機会があった。