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“俊足・大谷翔平すら追い抜きそう”WBC神走塁から1年…周東佑京28歳が「代走要員から打率3割リードオフマン」至難の道を歩み始めている 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/05/21 11:01

“俊足・大谷翔平すら追い抜きそう”WBC神走塁から1年…周東佑京28歳が「代走要員から打率3割リードオフマン」至難の道を歩み始めている<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

ソフトバンクのリードオフマンとして定着しつつある周東佑京。足のスペシャリストからレギュラーとして足固めの1年となるか

 周東は代走では10盗塁2盗死、そしてトータルでは36盗塁で2回目の盗塁王になっている。規定打席未達で盗塁王(タイトルになっていない時代も含む)を獲得した例はセ・パ両リーグ分立後、12例あるが、2回盗塁王になったのは周東だけ。また周東の2020年の50盗塁での盗塁王は、規定打席未達では1951年、国鉄の土屋五郎の52盗塁に次ぐ史上2位である。

 ロッテの和田もすごい記録を持っている。2021年に24盗塁で他の3選手とともにタイトルを取ったが、打席数はわずか24。これは1966年阪急の山本公士の158打席をはるかに下回る「盗塁王の最少打席」。24盗塁のうち23を代走起用で決めている。

 昨年、両リーグ通じて20回以上代走に起用された選手は19人だが、左打ちが13人、両打ちが2人、右打ちが4人。一塁までの距離が数十cm短いとされる左打ちの選手が多い。

 すべて内野手か外野手だが、広島の矢野のように「守備の名手」として守備固めに就く選手も多い。

周東は今季ここまで打率.305、代走起用なし

 ただ、ここで名前が挙がることは、これらの選手にとってそれほど嬉しくないかもしれない。野手である限りは、スタメン出場して規定打席を誰もが目指すものだ。代走での起用が増えるのは、レギュラーの道が遠ざかることでもある。

 今季「代走」から抜け出して、レギュラー選手の道を歩みつつあるのが、現在28歳のソフトバンク周東である。

 5月19日時点で、33試合に出場して131打数40安打1本塁打9打点16盗塁2盗塁死、打率.305で4位につけている。今年は代打こそ2回あるが、代走起用は1度もない。

 代走専門選手でスタートして、レギュラー選手として打率ランキングに乗るのは、至難のことだ。

 かつて巨人の鈴木尚広は、終盤に代走で一塁に立つと、高い確率で二塁を陥れ、「終盤の最終兵器」とまで呼ばれた。228盗塁47盗塁死、盗塁成功率.829という数字を誇ったが、彼でさえも最多打席数は2008年の270、規定打席には遠く及ばなかった。

 また、近鉄の藤瀬史朗は足の速さから「近鉄特急」と言われ117盗塁28盗塁死、成功率.807だったが、彼は1980年の122打席が最多である。

「打撃」が課題とされてきた中で

 リードオフマンタイプとして当初起用された選手が、その後代走で出るというケースはあるが、最初から「代走専門」だった選手がレギュラーの座をつかむのは至難の業だ。

 では周東は、どのようなプロセスを経て今季に至っているのか。

【次ページ】 “大谷を追い抜きそう”WBC神走塁を経て…

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