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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「引退会見はドイツ語だけ」ルールも…長谷部誠は日本記者のため「日本語の時間」を作った 現地記者が見た引退試合での「気配り」「ファンの愛」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byItaru Chiba
posted2024/05/20 17:03
当初、会見場でドイツ語のみの記者対応が予定されていた長谷部誠。しかし会見が終わると、立ち上がり…
セレモニー後には長谷部とローデは改めてゴール裏のファンのもとへと向かい、柵を上ってコールリーダーらとハグをし、言葉を交わし、一緒に飛び跳ねた。ファンの熱を、愛を間近で感じたことだろう。
「『この瞬間は買うことはできない』って話をしました。僕にとっても、彼(ローデ)にとっても、素敵な言葉。僕は外国人で、日本から来て、15年間ドイツでプレーして。フランクフルトは僕の2つ目の故郷です。アイントラハトが持つ意味というのは、僕にとっての全て」
記者会見で長谷部が感慨深げに話していたのがなんとも印象的だった。
ドイツ語のみの記者会見
そう、記者会見だ。普段は試合後ミックスゾーンでの囲みとなるが、この日は会見場にて2人同時に行う形式になっていた。それはいい。ただ壇上の広報からは「来週日本で大きな記者会見が開かれ、100人以上の報道陣から申し込みが来ています。そのため今日の会見はドイツ語だけで行います」とアナウンスが。前回の引退会見はわかる。ただこの試合のために、日本から駆け付けたライターやカメラマンもいる。
とはいえ、決定事項ならばしょうがない。僕は手をあげてドイツ語で質問をさせてもらうことにした。
「日本での会見には残念ながら参加できないので、ドイツ語で質問させてもらいます。以前、長谷部選手は、フランクフルトはビッグクラブになれるポテンシャルを持っているといっていました。今も同じように感じていますか? これからのフランクフルトに何が必要でしょうか?」
長谷部が答えたフランクフルトの将来性
長谷部は「アイントラハトは……」と口にしてしばらく考え、それからこんな風に答えた。